英語の辞書はこう使え!英和辞書や和英辞典の効果的な使い方を知ろう
英語学習において、誰もが一度は使ったことがあるはずの英語辞書。学生時代には必ず持っていたはずですが、今も持っていますか?なかなか当時使っていたものを今も持っているという人は多くないかもしれませんね。
ところで、当時使っていたのは「英和辞典」か「和英辞典」かどちらだったか覚えていますか?どちらか片方?もしくは両方?
また、英語の辞書には「英英辞典」というものも存在しますが、ご存じでしたか?いやもちろん知ってるよという人でも、どういう使い方をすれば効果的なのかまで把握しているでしょうか?
これらの辞書を適切に使い分けることが英語学習をより効率的に、また効果的にしてくれるのですが、果たしてどれくらいの人が適切に使いこなせているでしょうか。
実は辞書には単語の意味だけではなく、多くの情報が載っています。ただ知らない単語の意味を調べるだけのツールと思っていたら、大きな損をしている可能性があるのです。
今回は、それぞれの辞書の違いや特徴・どういった使い方をするかなどを解説し、これまであまり辞書を使ってこなかったという人にも有効的な利用法を紹介できる内容となっています。
また英語の辞書のトピックということで、英語学習の中でも「リーディング」のスキルに関連する事項が多くなっています。リーディングの効果的な学習方法について先に知っておきたいという方は、下記リンクを参照してください。
目次
英語辞書の種類と特徴について
まずは、冒頭で述べたような英語辞書の種類と特徴についてまとめてみましょう。今さら説明されなくても分かると思うかもしれませんが、改めて再認識することで分かることもあるのでまずはお付き合いください。
英和辞典(英和辞書)とは
英和辞典は、英語学習の基本となる辞書です。文字の並び通り、英語の意味をを日本語で説明している辞書ということになります。
…なんていうことはもちろん皆さんご存じでしょうが、意外と見逃しがちなのが「英和辞典には何が載っているか」です。
英和辞典をよく見ると、その単語の意味だけでなく実に色々な情報が載っています。以下の表を見てください。
音節 | 見出し語が・で区切られている。例:im・por・tant(3音節) |
発音 | 発音記号やカナ |
アクセント | アクセントの位置 |
品詞 | 動詞・名詞・形容詞など |
語形変化 | 三単現のSの形・過去形・過去分詞・現在分詞 複数形 比較級・最上級など |
派生語・同義語・対義語・語源 | 語源やその語に関連する語 |
訳語 | 日本語訳 |
文型 | S(主語)・V(動詞)・O(目的語)・C(補語)・M(修飾語句)など |
例文 | その語を使った例文 |
熟語 | その語を使った熟語 |
語法 | その語の使い方や他の語との違いなど |
イラストや図表 | 分かりやすくするイラストや図表など |
せっかくこれだけの情報があるのに、ただ意味を調べて終わるだけではもったいないですよね。最低でも発音とアクセント、可能なら変化形や関連語なども同時に見ておけば一回の単語検索で多くのインプットができます。
もちろん全ての単語検索でそれをやり過ぎてしまうと効率が悪くなってしまうこともありますが、急いでいるとき以外は何かしらの付加情報を得られるものとして考えた方が有効に辞書を利用できます。
和英辞典(和英辞書)とは
和英辞典は英和辞典の逆で日本語の意味に合った英単語を調べるものです。この和英辞典の使い方には実は教育者の中でも賛否あります。「和英辞書には不自然な表現がたくさん載っているので使うべきではない」というのです。
実際、和英辞典で調べた英単語を使って文章を作ると不自然な英語になってしまうことが多々あります。ひとつの日本語がひとつの英語に対応しているわけではないからです。
1つの日本語で検索しても様々な英単語が出てくるため、適切なものを探すには他の辞書も参照する必要があります。端的に言うと、和英辞典はもちろん使ってもいいが、英和辞典と併用するのが必須ということです。
英英辞典(英英辞書)とは
英英辞典は、英単語の意味・用法を英語で説明してある辞書です。英単語の微妙なニュアンスを理解し、英語を英語のまま理解する英語脳を作るのに役立ちます。英英辞典で英単語の本来の意味をつかみ、文脈上それに最も近い日本語は何かを考える癖をつけることは英語力向上にとても有効なのです。
ですが、多くの教育者に共通の見解は「初心者にはおすすめしない」ということです。というより、そもそも英語初心者が英英辞典を見ても書いてある文が理解できないというのが大きな理由として挙げられます。
そのため、英英辞典はある程度の英語力をつけた人がさらにステップアップするためのものと考えたほうがいいでしょう。
例えば「ditch」という単語を英和辞典で調べてみると、
・溝を掘る
・溝にはまらせる
・脱線させる
・(もの・人)を捨てる
という4つの意味が出てきますが、これが英英辞典だと
to get rid of something or someone that is no longer wanted
=必要でなくなったものや誰かを取り除くこと
という意味しか出てきません。ですが、例文を読むと
Did you know that Sarah ditched(= ended her relationship with)her boyfriend last week?
(サラが先週ボーイフレンドをditch(=〜との関係を終わらせる)したの知ってた?)
と書かれており、ditchedが「ended her relationship with(=〜との関係を終わらせる)」という意味だなと分かり、日本語らしく言えば「サラが先週彼氏と別れたの知ってた?」という意味の文であることが分かります。(ただし日本語訳はせずに英語のまま理解するのがベストです。)
とはいえ、英語初心者がditchの説明文を読んだときに「get rid ofって何?」とか「no longerってどういう意味?」となってまたそれを調べるとなると、時間的な効率が悪すぎます。知らない単語や文法の連鎖が起こってしまうのです。やはり最初は英和辞典を使い、英語力が付いてきたら徐々に英和辞典と英英辞典を併用し、最終的には場面によって使い分けるというのがベターかと思われます。
それぞれの辞書の使い分け
英和辞書・和英辞書・英英辞典は場面によって併用し、使い分けることが重要だということを説明しましたが、では具体的な使い分けはどういう風にすればいいのでしょうか?ここでは実際にこういうときはこの辞書をこういう風に使う、というおすすめの使い方について解説していきます。
作文するときには和英→英和の順で
作文と大げさに書きましたが、単純に誰かに何かを伝えたいときに単語が分からないときがあります。このときはまず和英辞典で調べるしかありません。ですが上の方でも書いたように、和英辞典で調べただけでは伝えたいことを伝えるのに本当にその語が適切なのか、どういう言い回し(文法)で使うのかが分かりません。
ですから、まず和英辞典で調べた後に英和辞典を使い、詳しい意味や用法などを確認してから文章を作るのがベターです。
固有名詞を調べる時は英和辞書
固有名詞を調べるときに英英辞典を使うと、むしろ混乱することがあります。例えば「constitution」という単語を英和辞典で調べると「憲法」「日本国憲法」という意味が一発で分かります。
しかしこれを英英辞典で調べてみると、
the set of political principles by which a state or organization is governed, especially in relation to the rights of the people it governs
州や組織を統治するための、とりわけ支配される人々との関係性に関する政治的原則の集合
…となり、「いやそれはそうなんだろうけど簡潔に言ってくれよ!」となること請け合いです。
固有名詞というのは日本語と英語の意味がそれほど離れていないことが多いので、固有名詞を調べるときには英和辞典が向いているといえるでしょう。
紙の辞書と電子辞書・オンライン・アプリはどっちがいいの?
昔と違って今は電子辞書もありますし、グーグル翻訳をはじめとしたオンライン上での翻訳サイト、スマートフォンアプリなど辞書の選択肢は非常に多くなっています。やはり昔ながらの紙の辞書でなきゃだめだなんて人もいるようですが、実際のところはどうなのでしょうか?
音声付きに勝るものなし!
検索という意味だけではなく付加価値を求めるなら、その単語の実際の音声が聞けた方が絶対に有利ですし、確実に身につきます。その点ではやはり、音声が聞ける電子辞書やスマートフォンアプリ・インターネット(オンライン)の辞書などが優れていると言えるでしょう。紙の辞書でも付録でCDが付いているものもあるので、可能な限り音声が聞けるものを選ぶに越したことはありません。
そのあたりも含めて、選べるなら電子辞書がおすすめという教育者の方も多いですし、何ならスマホが最強という人もいます。Google検索や翻訳で発音も聞けますし、スマホを辞書として使いこなせるようになるのが今後有利になってくるかもしれませんね。
定期的に新しいものに買い替えよう!
言葉というものは生き物のようなもので、時代とともに変わっていき、新しいものが生まれています。日本語でもネット用語をはじめ、新しい言葉はどんどんアップデートされていますよね。英語辞書も同じく、言葉や情報の鮮度が古くなってしまった辞書だと現在では普通に使われる言葉でも載っていなかったりする可能性があります。「Facebook」「Twitter」なんて言葉も古い辞書には載っていませんよね。
また意外かもしれませんが、辞書自体も年々進化しています。カラー化されて見やすくなったり、重要な部分が大きくなっていたりとより使いやすいようアップデートが繰り返され続けているのです。10年~20年前の辞書と比べると、その見やすさに驚くことでしょう。
古いものを長く使うことが悪いわけではありませんが、こと辞書に関しては学習の観点からも新しいものに買い替えるのが望ましいといえます。
また情報の鮮度という意味だけでなく、自分自身の英語力のレベルアップに応じても辞書を買い替える必要があります。英語の辞書は上級者用・中級者用などレベルに応じても分かれていますし、用途によっても種類が異なるものです。英語の学習をすすめていくと、何年かしたころにはあなたの英語力も上がり、それまで使っていた辞書では対応しきれなくなってくる場合も。
その時の自分のレベルや目的によっても、辞書を都度買い替えていく必要があるということです。
まとめ
それぞれの辞書の特徴や使い方について説明してきましたが、より有効的な使い方をするためには目的をはっきりさせることが重要です。
単語を調べるという一つの行為から副産物的に用法や派生語など語彙を増やせるのは大きなメリットですが、一方で「単語を覚える」という目的に特化して考えた場合は辞書を使う方法の他にも有用な方法があります。詳しくは下記リンクを参照してください。
いずれにしろ、英語の辞書というのは英語学習を進めるうえで必携のものですし(たとえそれがスマホだったとしても)、それぞれの上手な使い方を知って有効活用するのが上達への近道であることは間違いありません。
自分に合った辞書を見つけて、より効果の高い英語学習を行ってみてください。