英語の「コロケーション」で違和感がない自然な英会話を覚えよう
英語学習を進めている人の中には、英単語や文法はそれなりに覚えたけれどどうしてもネイティブっぽい自然な英語にならない…と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ある程度の英語力がついたとしても、日本人が作る英文はネイティブから見ると(文法的には合っていても)普通は使わない表現だったり、意味が分からない文章だったりします。文法的には合っているのにどうしてこういうことが起こるのでしょうか。
実は英語にはよく使われる単語の組み合わせがあるのです。これをcollocation(コロケーション)と言います。今回はコロケーションを学ぶことによって、より自然な英語を身につける方法を知っていきましょう。
目次
collocation(コロケーション)とは何か
まず初めにcollocation(コロケーション)の定義から学んでいきましょう。先ほどもお話ししたように、コロケーションとは単語と単語のよく使われる組み合わせ・自然な語のつながりのことで、連結語句・連語などと訳されることもあります。
例を挙げた方が理解しやすいので、今回はどんどん例を挙げていきますね。まず英語で強い雨のことは何と言うでしょうか。正解はheavy rainです。ここで注意したいのは、「強い雨」という意味だからといって「strong rain」と言うのは誤りだということです。
「strongだって強いという意味だし、むしろheavyの方は重いという意味なのでは?何より文法的には間違っていないはず…」とか思った人、その考え方は今後英語学習を進めるうえで身を滅ぼしますよ。
「日本語訳がこうだから」とか「文法的には合ってる」とか、ネイティブにはそんなこと全く関係のないことです。当サイトで何度も口を酸っぱくして言っているように、英語を上達させるためには英語を英語として理解する「英語脳」を作ることが大切。日本語訳がどうとかは忘れるようにしましょう。
日本語訳はともかく、同じことを日本語に置き換えて例えるとより分かりやすいと思います。例え言いたいことの意味が分かったとしても、「ズボンを着る」「帽子を履く」とは絶対に言いませんよね。同様に、絶対に言わないとまでは言わなくても「嘘をつく」とは言いますが「嘘を言う」とはあまり言わないのではないでしょうか。
他にも「昼食をとる」とか「電話を切る」とか「辞書を引く」など日本語特有の言い回しは数多くありますが、外国人に「なぜ?理不尽だ!」と言われても困りますよね。それで定着しているからとしか言いようがありません。
英語のコロケーションもそれと全く同じです。英語圏にとってはそれが自然な単語の組み合わせであり、普通に使う表現であり、そうでないものは間違いなのです。black and whiteという表現はよく使いますが、white and blackとは言いません。「commit a crime (罪を犯す)」というコロケーションがありますが、文章として正しいのは「he committed a crime」であり、「he made a crime」や「he did a crime」とは言わないのです。
コロケーションとイディオムの違い
さて、よく使われる単語の組み合わせと聞くと読者の方の中にはイディオムを思い出した人もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際、コロケーションはイディオムと混同されたりコロケーション=イディオムなどと説明されたりすることがあります。イディオムも「2つ以上の単語が合わさって特別な意味を表す言い回し」のことだからです。
しかし実際にはコロケーション=イディオムではなく、「イディオムはコロケーションのひとつ」と捉える方が正解です。コロケーションにも色々なタイプがあることは後ほど説明していきますが、イディオムはコロケーションの中でも最も単語の結びつきが強い「レベルA」に相当します。
「コロケーションとはイディオムのことです」などと書いてある文章を見たら、ちょっとニュアンスが違うんだけどな、と思っていただければと思います。
イディオムについて詳しく知りたい方は、下記記事を参照してください。
コロケーションの種類
上からの続きになりますが、コロケーションにも種類(レベル)があり、ここでは単語の結びつきが強い順にレベルA~Dと分類することにします。まずはレベルAから順に解説していきます。
コロケーション~レベルA
上の方でも説明した通り、レベルAがイディオムになります。イディオムの特徴としては、単語どうしの結びつきが最も強く、単語を入れ替えたり順番を変えたりすると意味不明になってしまう点と、元の単語から意味を推測するのが極めて困難(場合によっては絶対無理なものも)があります。
コロケーションの中でも「Aという単語とBという単語が合わさって、A+B=ABではなくA+B=Cという新しい意味になる」のがイディオムと考えてもいいでしょう。
例えば「Bite the dust」というイディオムがありますが、直訳すると「埃を噛む」となり、なんのことやら意味が分かりません。
実際には、このイディオムの意味は「死ぬ」「倒れる」「壊れる」「破滅する」といったようなものになります。人が倒れて死ぬ様を「地面を噛む」と表現したことが語源となっているようです。説明されなきゃ分からないですよね。
また、「Bite a dust」や「Bite dust」のように構成語句を一文字でも変えてしまうともう意味が通りません。あくまで「Bite the dust」でなければならないのです。そのため、このコロケーションレベルA(イディオム)は丸のまま暗記してしまうのがおすすめ。
ちなみに他の例としては、「a piece of cake(とても簡単な)」とか「When pigs fly(起こりようもないこと)」、「in a nutshell(ひとことで言えば/簡潔に言えば)」などがあります。
コロケーション~レベルB
レベルBもイディオムと呼べますが、レベルAとの違いは単語から全体の意味が予測できるということです。
例えば「break a journey(旅を中断する)」というイディオムは、breakに「壊す、壊れる」という意味以外に「(継続を)断ち切る」という意味があることを知っていれば推測は容易です。しかしこちらもbreakの代わりに他の語を使って「stop a journey」「cease a journey」などと言うことはできません。あくまで「break a journey」という語です。
他の例としては「foot the bill(勘定を払う)」=「foot(払うという意味もある)」+「the」+「bill(請求書)」や、「kill two birds with one stone(一石二鳥を得る)」などがあります。後者は日本語の「一石二鳥」と同じなので分かりやすいですね。
コロケーション~レベルC
レベルCからは、ある特定の語に対して組み合わせることのできる単語が複数存在します。語句を入れ替えることができるので、ここからはもはやイディオムとは呼びませんね。
例としては「重大な責任」という意味の「great responsibility」「heavy responsibility」などがあります。この場合はイディオムとは違い、greatでもheavyでも(若干のニュアンスの違いはあったとしても)間違いではないし、実際に使われる表現ということになりますね。
他にも「アクセスできる」という語句は「give access to」「allow access to」「permit access to」などの英語で表すことができます。
コロケーション~レベルD
レベルDは、ある特定の語の前後を入れ替えることができるコロケーションです。例えば「教えを受ける」という語を英語にすると「get a lesson」「get a tuition」「get a instruction」のほか、「have a lesson」「have a tuition」「have a instruction」も使えますし、「receive a lesson」「receive a tuition」「receive a instruction」も通用します。
ここまで自由度が高くなると、もはや何がコロケーションなのか分からなくなってくる人もいるかもしれませんが、それでもやはり普通は使わない組み合わせの単語にしてしまうと一気に意味が通らなくなってしまうのです。
コロケーションを覚えるメリット
コロケーションを学ぶ意味としては違和感のない自然な英語を話せることというのはすでにお話ししましたが、それだけではないメリットもあります。
まず、コロケーションを知っていれば次にくる単語を予測することができるということです。コロケーションはよく使われる単語の組み合わせなので、ある単語を見たときに「この単語なら次にあの語が来そうだな」というのが直感的に分かるようになるのです。日本語でも同じように「雨が~」という文を見たら次に来そうな語として「降る」とか「強い」とかが意識せずとも頭の中で予測されますよね。
これによって、英文の読解を早くすることができます。単語をひとつづつ見ていくより次の単語を予想しながら読む方が圧倒的に早いですし、単語の組み合わせ(ブロック、かたまり)ごとに意味を考えるようになるので、文の読解がより早くなります。
多くのコロケーションを知っているということは当然多くの単語を知っているということにも繋がるわけですが、ある単語でも組み合わせによって全く違う意味になったりするのが英語なので、コロケーションを知ることにより文の理解も深まりスムーズに読解ができるようになるのは明らかです。
コロケーションを学ぶ方法
コロケーションを学んだり調べたりする方法としては英語辞書(特に英英辞書)の使用が挙げられます。最近の英語辞書の例文は「言語データベース(コーパス)」と呼ばれ、頻度の高いコロケーションを反映しているので実際によく使われているコロケーションを知ることができます。
とはいえ、すべてのタイミングでいちいち辞書を引くというのもなかなか大変なときもあるでしょう。そんなときに有効なのがコロケーション辞書です。コロケーションをまとめているサイトもいくつかありますので、先のリンク先以外にも自分に合ったサイトを探してみてください。
まとめ
コロケーションというあまり聞きなれない言葉について説明してきましたが、理解していただけましたでしょうか?
結局はコロケーションとは何かというと「単語と単語にはくっつきやすいものがある」 ということと、そのくっつきやすい単語以外の単語を使って文を作ると「変な英語」になるということです。
いくら英語の学習を進めても、実際にネイティブと話したとき、
「何だか変な英語だなあ」
「英語を話しているのは分かるんだけど、言いたいことの意味が分からない…」
「言わんとしていることは何となく分かるけど、普通はこんな言い方はしないんだけどな…」
なんて思われるのはできれば避けたいですよね。
コロケーションを学ぶことにより、実際の英会話において「自然で、違和感のない、こなれた印象」を与えることができます。ある程度の英語学習を進めているけど今一つ足りない気がする、英語でのコミュニケーションをさらにスムーズなものにしたい、などと考えている人にとっては非常に有効な学習法といえるでしょう。
「自分はまだそこまでのレベルに達していないから…」などと思った人も、普段の学習でちょっと意識しておくだけでも違ってくるので、ぜひ知識として覚えておいてくださいね。