直接話法と間接話法の違い説明できる?入れ替える方法も知っておこう
直接話法と間接話法、英語の授業で習った記憶はありますか?そこで嫌な顔をした人、この先を読むのをやめないでくださいね。これが苦手だった人も、今回の記事を読めばだいぶ理解できるようになりますよ。
そもそも日本人で話法が苦手な人がいる理由は、日本語にはもともと間接話法という概念がないからとも言われています。そのため、小説や映画のセリフを日本語訳すると難しい場合があるのです。苦手だったとしても、自分の能力が低いせいだなどと思わないでくださいね。
今回はそんな人たちでも直接話法と間接話法の違い、入れ替える方法などについて学んでいきましょう。一度理解できると意外に簡単かも?なんて思えるようになるかもしれませんよ。
目次
話法とは何か?
まず、そもそも話法とは何かについて学んでいきましょう。話法とは「誰かが言っていたことを別の誰かに伝えるやり方」要は「人のセリフの伝え方」のことです。
話法は何のためにある?
まず仮に「ケンヂは、あなたは美しいと言った。」といった文があるとします。この文章を英語に訳すとどうなるでしょうか?
まず最初の問題は、登場人物が何人なのか分からないため、「あなた」が誰なのか分からないことです。登場人物が2人であれば「ケンヂは『あなたは美しい』と(私に)言った。」ということになりますが、登場人物がケンヂ・あなた・モヨコの3人だったらどうでしょうか。
ケンヂが「モヨコは美しい」ということをあなたに言い、それをあなたがモヨコに「ケンヂは、あなたは美しいと言った。」と伝えた、という可能性もありますよね。
このような混乱を避けるために、話法が存在するのです。
話法を学ぶことは重要か?
話法は文法の中でも助動詞・不定詞・分詞・関係詞などと比べて後回しにされることが多く、実際に話法の書き換え問題など多くやったとしても日常生活で「書き換えろ」などと言われることはまずありません。
ではあまり必要ないのかと言われると、そんなことはありません。受験や試験で重要じゃなくとも、日常会話においては頻出する表現だからです。
使いやすいからといって直接話法ばかり使っていると、相手に幼稚な印象を与えてしまうことがあります。話法だけでなく、英語にはいくら正しい表現でもそればかり使っていると語彙が少ない幼稚な人と思われてしまうことがあります。英語で日常会話することを重視する人は覚えておいたほうがいいでしょう。
直接話法とは何か
さて、まずは直接話法とは何かについて学んでいきましょう。
直接話法は、相手の言ったことをオウム返しのようにそのまま引用して伝える話法のこと。
ケンヂが「モヨコはスミレの花のように美しい」と言っていたよ。
このように、相手の言ったセリフをそっくりそのまま引用して伝えるのが直接話法です。上の日本語では「」を使って引用を表しましたが、英語では引用符「”」を使って表します。
ちなみに、直接話法は「そのまま引用」(相手が言ったセリフを変えない)がルールなので、2人称を1人称に直したり、過去形の時制を合わせたりする必要はありません。あくまで相手がその時言った一言一句を引用するのが直接話法となります。
間接話法とは何か
それでは間接話法とは何かというと「相手の言ったことを理解してかみ砕き、自分の言葉に直して他の人に伝える」というのが適した説明かと思います。分かりやすいでしょう?
上の方の例を間接話法で言うと、
ケンヂがあなたは綺麗だって言っていたよ。
この場合は、話し手がケンヂから「モヨコは美しい」という話を聞き、それを受けてモヨコに「あいつが、君が綺麗だって言ってたぜ」という内容を説明しているのです。
このように間接話法は、「誰が誰に何を言ったのか」という事実を伝えるのに適している話法といえます。
間接話法を使うときは通常、thatやif・whetherなどの接続詞を使います。
例えば「He told me that he wanted to be a teacher.」といった具合です。thatやifが接続詞の役割を果たし、それ以降がその人が言っていたことを自分で言い換えた文章になっています。
なぜ直接話法を間接話法に言い換える必要がある?
直接話法と間接話法の違いは理解できたと思います。ではなぜ直接話法を間接話法に言い換える必要があるのでしょうか?全部直接話法ではダメなのでしょうか?
答えは簡単です。こうやって文で読んでいるときならいいですが、実際の会話では引用符「”」は使えないからです。
だからこそ、実際の日常会話では間接話法の方が普通によく使われるのです。
ケンヂがあなたに「モヨコは美しい」と言います。これをモヨコ、もしくは他の誰かに伝達しようとするあなたは、話し手である「私」という存在になります。
直接話法では引用符「”」で囲めばいいだけでしたが、間接話法ではモヨコを美しいと言ったケンヂは「I」なのか「He」なのか、そして彼が過去に発言したことを今伝達しているのなら「am」を「was」に直さなければならないのではないかなどという時制の一致、指示代名詞、時・場所の副詞などの置き換え…そういったことに気をつけて言い換えていく必要があります。
面倒くさいと思うかもしれませんが実際はこの間接話法があることによって、日常会話でも「誰が誰にいつ何と言ったか」というのを正しく伝えることができるのです。
直接話法を間接話法に言い換える方法
それでは実際に、直接話法を間接話法へ言い換える方法を見ていきましょう。方法というかルールとして覚えていくといいかもしれません。とはいえ、全てをこの記事で網羅するのは難しいので、例を挙げながら「こういう感じなんだな」というのが分かるように説明していきます。
まず頭に入れておいてほしいのは、直接話法を間接話法に変換する際、使用する単語を変えなければならないことがあるという点です。
直接話法 | 間接話法 | |
指示代名詞 | this these |
that those |
時 | today tonight now ~ago |
that day that night then ~before |
場所 | here | there |
上記は、直接話法から間接話法に置き換える際に使われる語の一覧です。あくまで一部なので誤解なきよう。ですが、勘のいい人なら「何をどうすればいいか」が見えてくるのではないでしょうか?
それでは上の表も踏まえたうえで、順に見ていきましょう。まずは簡単なところから。
単語の置き換え
(直)John said, ‘I’m very busy today.’
(関)John said that he was very busy that day.
上記の表にある、todayがthat dayに置き換わった例ですね。ただ、このあたりは話をするタイミングや場所によって変化します。忙しいのが今日なのか昨日なのか、この話をしているのが昨日なのか今日のランチタイムなのか、それによってthat dayがyesterdayになったりtodayになったりするのが難しいところです。
(直)He said to me, “I will be teaching the summer course.”
(関)He told me that he would be teaching the summer course.
直接話法でsay toが使われている場合、間接話法に転換する際は普通、tell(told)に変更します。これがsay(said)の場合だと間接話法になってもsaidのままなのがまたややこしいところ。
(直)She says, “I’m just leaving here.”
(関)She says (that) she’s just leaving there.
「私はここを出発する」と言っている→彼女はそこを出発すると言っている、というようにhereがthereに変わっていますね。このように場所の副詞も必要に応じて形が変更されます。
時制の一致
(直)Taro said “I’m happy.”
(関)Taro said that he was happy.
thatを使って文を繋げ、彼が言ったことなのでIがheになり、過去の話なので時制を一致させるために’mがwasになっていますね。
時制に関して少し複雑になったものを見てみましょう。
(直)Sally said, “I will be busy.”
(関)Sally said that she would be busy.
例のように、主節の時制が過去形の場合は「that」以下の文は時制を一つ下げる必要があります。
しかし英語あるあるで、この間接話法の時制の一致に関しても例外が多々あります。これは基本的には覚えるしかありません。例外のひとつを紹介すると、
「ジョンは『私の父はおおらかな人です。』と言った。」
John said that his father is an easy-going person.
上記のように「人の性格など、今も変わらない事実」については、過去形には直さずに現在形を使います。
疑問文の場合
(直)He said, “Do you like sushi ?”
(関)He asked me if I like sushi.
人のセリフが疑問文のときの間接話法の例です。Do youの代わりに「if」を使います。saidはaskedに変えるのがベターです。
命令文・助言・提案などの場合
(直)My mother said to me, “Do your homework.”
(関)My mother told me to do my homework.
間接話法の命令文では「tell+人+to do」という形になります。応用として、「〜するな」と禁止を表す命令文の場合は「tell+人+not to do」です。
ただし、相手に何かを依頼するような命令文は「ask+人+to do」になります(「She asked me to call back after lunch.」など)。
命令文の形でも、助言や提案などの場合は「advise+人+to do」を使います。
また「Lets do…」「Shall we…?」など勧誘の場合は「suggest(to+人)that S (should) do…」のようにします。
感嘆文の場合
驚きや喜び・落胆などの感情を表す感嘆文は、間接話法でも感嘆文の語順のまま使用します。
(直)She said to me, “How noisy your motorcycle is!”
(関)She complained about how noisy my motorcycle was.
上の例では変換する際に「complain(文句を言う)」という動詞を使い、yourがmyに、isがwasに変化しています。
まとめ
間接話法への変換に関しては他にも、従属節を含む文・等位接続詞で結ばれた文・異なる種類の文が混在する場合など多くの例・例外・ルールが存在しますが、ここでは割愛します。ややこしいうえに、全部を網羅することは難しいからです。まだまだ知りたい人は、より専門的なページがあるでしょうから探してみるといいでしょう。
しかし、直接話法と間接話法に関しては大まかに理解はできたのではないでしょうか?どんな単語が変換されるのか、時制の一致をどうするか。基本さえ抑えておけば、実際に使う際もそこまでハズすことはないはずです。
また直接話法にしても間接話法にしても、あくまで相手に伝えるための手段のひとつ。必ずしも文法的に正しく直接→間接へ変換しなくとも、間接話法的な文を作ることはできます。要は相手に必要なことが伝わればいいのです。
ルールにとらわれすぎず、相手とのコミュニケーションを円滑にするためのひとつの手段として話法が存在するということを忘れないようにしてくださいね。