英検やTOEICだけじゃない!PTE Academicとケンブリッジ英検について知ろう
英語資格といえば皆さん真っ先に思い浮かべるのがTOEICでしょう。英語のレベルを測るとき、また会社や仕事で能力を求められるときに指標にされるのは今さら語るまでもありません。
しかし、英語の資格はTOEICだけではありません。TOEFL(トーフル)や英検、IELTS(アイエルツ)なども有名です。当サイトでも以前に紹介しましたね。
実は、英語資格はまだまだ他にもあるのです。上のリンク先でも話したように日本では何かとTOEICがもてはやされる傾向がありますが、実はTOEICを受けるのは半分以上が日本人。TOEICで高得点=英語が話せるわけではないというのは、もはやよく知られるようになってきています。
では何の資格がおすすめなの?という疑問に応えるべく、今回はPTE Academicとケンブリッジ英検についてまとめてみました。英語学習の目標を作るうえでの参考にしてみてくださいね。
目次
PTE Academic(ピーティーイーアカデミック)
PTE Academic(ピーティーイーアカデミック)は「Pearson Test of English Academic」の略称で、近年世界で急速に利用されるようになっている試験。2009年から始まった、まだ比較的新しい国際的な英語能力試験です。
日本ではまだ知名度が低いですが、世界中の何千もの教育機関で認定されており、オーストラリアやニュージーランド・イギリスでは全てのVisa取得の際の英語力証明として認められています。またGMAC(世界中の一流大学のマネジメントスクールの非営利団体)からも推奨されているそう。
PTE Academicの概要
PTE Academicは英語を母国語としない人を対象にした試験で、海外の大学・大学院の入試試験のために作られました。試験では日常生活で使用する言語能力を測定します。
PTE Academicの運営元
PTE Academicを開発・運営するのは、イギリス大手のメディア総合会社「Pearson(ピアソン)」。ロンドンに本部を置く、世界最大規模の教育サービス会社です。ロングマン現代英英辞典やイギリスのニュースペーパー紙「フィナンシャル・タイムズ」などを傘下に置くことで知られています。PTEは同社が独自のコンピューターを使用したテスト(Computer Based Testing)を用いて開発したもの。
PTE Academic試験の内容
PTE Academicの試験は、コンピューター採点なのが特徴。イギリス・アメリカ・オーストラリア・カナダ・インド・香港・中国・韓国を含む44の地域で受験可能で、もちろん日本でも受験できます。現在のところ日本で受験できるのは以下の会場です。
①東京:新宿Pearson Professional Centers
住所:〒160-0023 東京都新宿区西新宿8-1-2
PMO西新宿 8F
②東京:Pearson Professional Centers
住所:〒100-0011 東京都千代田区内幸町1-1-1
帝国ホテルタワー18F
③大阪:Pearson Professional Centers
住所:〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田1-8-17
大阪第一生命ビル12F
年間360日ほど試験が開催されており、ほぼ年中いつでも受講されています。試験後、遅くとも5日以内に結果が自分のアカウントで確認可能となるというスピード採点も特徴です。
前日までに登録すれば次の日にテストを受けられるというのも、緊急でスコアが必要という人にはありがたい検定ですね。
テスト内容は他の多くの英語検定と同様に「リーディング」「リスニング」「スピーキング&ライティング」の4技能の試験となっており、採点方法は10~90点満点です。スピーキングはコンピューターに向かって話す形式。4技能のほかにも文法や語彙力・スペルなどの6つの語学スキルも測定します。
PTE Academicは難しい?
IELTSと比べられることが多いPTE Academicですが、難易度的に著しく高い・低いという感じではないようです。ただ、人によって向き不向きがあるのは覚えておいた方がいいでしょう。
タイピングが早い人は有利
これは逆に言うと、タイピングの遅い人は不利ということです。タイピングの速さに自信がない人はIELTSの方がいいかもしれません。逆に手書きが苦手な人はPTE Academicが向いているかもですね。
正確さよりも流暢さが重要
PTE AcademicはIELTSと違い、スペルミスや文法の間違いには寛容です。しかし制限時間が短いため、流暢に英語がスラスラ出てくる人でないと厳しいかもしれません、
他の人の声が気になる
PTE Academicは開始時間が人によってバラバラなため、それぞれがパソコンに向かってヘッドフォンをして話し始めると、人によっては他の人の声がかなり気になるようです。集中できなさそうと思う人は避けた方がいいかもしれません。
ほぼ独学になってしまう
まだまだ日本では認知度が低いため、日本語で書かれた教材がほとんどなく、PTE Academicのためのコースを開設している学校も少ないのが現状です。独学で挑戦する自身がない場合は、難しいかもしれません。
PTE Academicが向いている人は
まとめると、PTE Academicは英語がほぼネイティブという人達が進学やビザ取得を目指すために受験することが多いテストという印象です。自分が向いているか、またIELTSを選んだ方がよいのかなどは見極めが必要そうですね。
ケンブリッジ大学英語検定(Cambridge Examination)
ケンブリッジ大学英語検定(Cambridge Examination)は、イギリス・ケンブリッジ大学が統括している試験。多くの国の大学や様々な教育機関・企業に認められている、国際レベルの英語検定試験です。こちらも日本での知名度はまだまだですが、実は約150ヶ国以上で実施され年間550万人以上もの人が受験している世界で最も有名な英語試験。100年以上の歴史を持ち、政府・省庁など世界中の機関に認定・活用されています。
ケンブリッジ英語検定試験の概要
「もし日本で普及すれば日本人の英語力は劇的に向上する」とまで言われるケンブリッジ英語検定試験。単に英語の知識を測るための試験ではなく、英語の知識を使いこなせるかという部分に重点を置いて作られているのが特徴です。
ケンブリッジ大学英語検定の運営元
日本でのケンブリッジ大学英語検定は、英国・ケンブリッジ大学英語検定機構(Cambridge Assessment English)と学校法人河合塾が共同設立した一般財団法人日本ケンブリッジ英語検定機構によって運営されています。
ケンブリッジ大学英語検定の内容
ケンブリッジ英語検定は、「A2 KET(基礎)」から「C2 CPE(最上級)」レベルまでの5レベルに分かれています。
試験内容は、リスニング&グラマー・リーディング・ライティング・スピーキングの4科目です。
検定の結果はTOEICのような点数制ではなく「合否」となっており、評価がA~Eの5段階で「A、B、Cは合格」「D、Eは不合格」となっています。
なお日本には11の認定試験センターがあり、各センターで年に2~3回実施されています。
生涯有効の国際資格
ケンブリッジ英語検定のメリットとしてよく語られるのが「生涯有効」ということです。世界で最も権威ある英語試験だけに「世界で通用する英語力を持っている」と認められます。
ちなみにオーストラリアではIELTSは2年間、TOEFULも2年間が有効期限となっています。TOEICは有効期限がないものの、企業によっては2年以内のものしか資格として認めないということもあるようです。
CEFR国際標準に準拠している
CEFR(セファール)(Common European Framework of Reference for Languages)」はヨーロッパ言語共通参照枠とも呼ばれる、言語の枠や国境を越えて外国語の運用能力を同一の基準で測ることが出来る国際標準。いわば世界共通の語学のガイドラインです。
ケンブリッジ英語検定はこのCEFR国際標準に完全準拠しています。ケンブリッジ大学英語検定機構がCEFRの開発に携わった経緯があるためです。英語4技能をCEFRで測定したい人にとっては最適といえるでしょう。
ケンブリッジ英語検定は難しい?
気になるケンブリッジ英語検定の難易度ですが、下の表が参考になるかと思います。
ケンブリッジ英検 | CEFR | 英検(日本) | |
基礎 | A2 Key(KET) | A2 | 3級〜2級 |
初級 | B1 Preliminary(PET) | B1 | 準2級〜準1級 |
中級 | B2 First(FCE) | B2 | 2級〜1級 |
上級 | C1 Advanced(CAE) | C1 | 準1級〜1級 |
最上級 | C2 Proficiency(CPE) | C2 | 1級〜 |
では目標設定をどうするか?という話ですが、中級の「B2 First(FCE)」以上がおすすめです。このレベルに達すれば「ネイティブと英語で無理なく会話ができる」「仕事で使う英語力を身につけている」と判断されるからです。
ケンブリッジ英語検定が向いている人は
ケンブリッジ英語検定は、「本当に話せる英語・使える英語の能力」が身につく資格と言われています。会話力・文法力があるだけでは合格できず、習得している英語の知識をきちんと使いこなす能力があるかどうかを判断される、そしてそのための勉強をするからです。
なので、資格は特に必要ないが短期間で英語のレベルを上げたい・日常生活で使える英語をマスターしたいと考えている人にもおすすめできる検定となっています。
もちろん、英語圏やEU諸国で仕事をしたい人・外資系企業への就職を考えている人・ネイティブと働いても恥ずかしくない英語力を身につけたい人には間違いなくおすすめの資格と言えるでしょう。
また同じイギリス生まれの検定であるIELTSと比較した場合、IELTSが社会的関心や政治・経済・環境などの理解も必要になるのに対し、ケンブリッジ英語検定はどちらかというと日常生活の中で起こりうる内容が出題されます。大学進学や専門職を目指すのでなければ、若干ですがハードルが低いといえるかもしれません。
ただし試験が年に4回しか開催されず試験結果が出るまでに6週間程かかるなど、日本での試験の受けやすさ・学習のしやすさは現在のところIELTSに軍配が上がります。
まとめ
今回はPTE Academicとケンブリッジ英検について解説してきました。ちゃんと読んでくださった方ならお分かりかと思いますが、両者とも若干ハードルが高い検定であることは間違いありません。ですが、その分本気で使える英語を身につけたい人にとっては挑戦しがいのある試験となっています。
TOEICや英検じゃだめなの?と問われればもちろんダメではないのですが、実際にネイティブと会話するという目的においていえばPTE Academicとケンブリッジ英検の方が効果は高いと言わざるを得ません。
現在はどちらも日本での学習に関してまだまだ充実しているとは言えませんが、今後ますますグローバル化する中で日本でも徐々に広まっていくはずです。
また「こんなハードルの高い試験を受けようとしている!」と思うことでモチベーションを向上させるという考え方もあります。そういった意識を持っている人なら考慮に入れてもいいかもしれませんね。