【あなたは大丈夫？】時間とお金を無駄にしない英語多読の正しい取り入れ方
英語多読は、洋書や英字新聞に書かれている膨大な量の英文に触れて、英語力を高める学習方法です。辞書禁止・読み直し禁止など斬新な方法ながら、時間もお金もかからない脅威の英語学習法として紹介されることもあります。
しかし、英語多読は、実は諸刃の剣。正しく取り入れなければ、挫折やかえってお金と時間を無駄にする可能性も孕んでいます。
今回は英語多読を正しく取り入れ、本格的な英語力を身につける方法をご紹介します。英語多読を検討している方、すでに試されている方は必見です。
英語多読ってそもそも何？破ってはいけない3つのルール
英語多読はシンプルですが、言語学習の本質を着いた学習法です。赤ちゃんが言葉のシャワーを浴びて言葉を吸収するように、膨大なインプットで数多くの単語・文法・頻出フレーズを学び取ることができるとされているからです。
最初に、英語多読のイメージを掴んでいただくために、この学習方法を用いる上で破ってはいけない3つのルールをご紹介します。
英語多読ルール1・辞書を引いてはいけない
英語多読では、わからない単語をいちいち辞書で引くのはNGです。読む効率や集中力が落ちてしまうだけでなく、英語ができない理由のひとつと言われている「英語を見聞きしたら日本語にする癖」が直せなくなります。
逆に、辞書を使わずに取り組むと、自然に文脈で大まかな意味を捉えることができるようになったり、言葉の意味を文字ではなくイメージで掴むことができるようになります。
英語多読ルール2・わからないところは飛ばして先を読む
英語を追う目を止めないことが英語多読上達のポイントです。わからないところで立ち止まらず、どんどん先を読み進めていきましょう。わからないところを飛ばしても、わかるところを繋げて意味を把握することでわからない単語の意味を想像できます。
この方法は、実は英語の資格試験やTOEICでも重要なスキルです。英語多読のルールを守れば、自然と試験対策のコツも掴むことができるのです。
英語多読ルール3・つまらなくなったら別な本を読む
我慢せず別な本を読み進めるのも英語多読のルールです。
英語のシャワーを浴びると言えど、目が滑って英語が頭に入らなければ意味はありません。目が滑るのはわからない単語が多いからで、それは自分のレベルに合っていないから。そうした本を我慢して読んでいても―――一般的には評価の高い本だったとしても――学習効果は期待できません。
英語多読において重要なのは思い切りの良さとも言えるでしょう。
英語多読のメリット
英語多読のルールを言い換えるなら「好きな本だけ、意味もちゃんと把握せずに読む」ですから、効果やメリットがあるか心配ですよね。
しかし、英語多読には、特に社会人や子育て中のお母さんなど、英語学習に時間を割くのは難しいけど早く成果を出したい方にピッタリのメリットが多くあります。ここでは、主なものとして5つご紹介します。
メリット1・お金がかからない
英語多読に必要なのは、膨大な量の英語だけです。洋書や英字新聞さえ用意できれば英語多読を続けられます。図書館やAmazonの読み放題プランなどを利用すれば、お金を気にせずに英語勉強に取り組めるでしょう。
少なくとも、留学や英会話スクールのように、数十万～数百万のお金がかかることはありません。
メリット2・自分のペースで進められる
英語多読は正しい方法さえ理解すれば、誰の手も借りずに英語学習を進めることができます。隙間時間や自分のタイミングで英語を読むだけなので、生活のリズムを変えずに取り入れることができるでしょう。
また、英語多読は思い立ったらすぐに始められます。気軽に英語学習を始められる点で、先生と一緒のレッスンが緊張する方や英語学習を始めるタイミングが掴めない方に、英語多読はとてもおすすめです。<
メリット3・読解スピードの向上
英語多読を続けると、文章の内容把握スピードが上がります。一番の理由は英語多読で英語をそのままインプットし、英語を理解する反射神経が培われるからでしょう。
英語学習においてやりがちなのが、英語を日本語に置き換えて意味を把握することです。それでは理解スピードが落ちてしまいます。英会話の場面で英語→日本語→英語と脳内置換していると会話についていけないことも。
英語多読はその脳内置換を解消し、ネイティブと同じように英語を理解するクセをつけるための学習法です。読解スピードが上がれば試験対策にも有効です。
メリット4・リスニング力の向上
英語多読によって英語の語順パターンが身につきます。リスニングでも、日本語と英語の語順の違いに惑わされずに聞き取ることができるようになるでしょう。
試験対策にも効果があり、リスニングCDを聞いていたときよりも点数がアップした、という話も少なからずあります。
メリット5・正確な英語を使えるようになる
多読を続けると、英作文や英会話など、英語でアウトプットする場面で簡潔で美しい英語を使えるようになります。
というのも、本は書き言葉が使われているからです。書き言葉は「何度も読まれること」「不特定多数に読まれること」を想定されており、話し言葉に比べて簡潔かつ正確に意味が伝わることが求められます。
本をたくさん読んでいる方の言葉は、わかりやすいですよね。それと同じで、本から英語をインプットを続けると、簡潔で明瞭な英語を自然にアウトプットできるようになるのです。
多読のおかげで、ネイティブから「綺麗な英語ですね」って褒められた…！そんな日が来るかもしれません。
英語多読の効果を高める秘訣3つ
英語多読で得られるメリットは多くあります。しかし、成果が出るよう正しく英語多読を行っている方が、とても少ないのが実情です。
そこで、正しく英語多読を取り入れるために重要な3つのポイントをお伝えします。
自分の英語レベルを把握する
英語多読は、自分のレベルに合った本を選ぶことが鍵です。自分の英語レベルを把握するか、事前に中学レベル程度の英語の基礎力は固めておきましょう。
これまで英語を勉強したことがある方は、レベルチェックテストで今の英語レベルを計ることをおすすめします。インターネットで無料で簡単にできるので、これから英語学習を始める方も役立ちます。
英語をすっかり忘れてしまった方は、中学文法をおさらいした上で英語多読に取り組むのがおすすめです。児童向けの洋書で使われているのが中学レベルの文法とされています。ですので、中学文法を学び直した上で英語多読に取り組むと、効果がアップするでしょう。
以下の記事では、特に英会話表現に役立つ文法を5つ解説しています。また文法全体の学び直しに最適な本も紹介しているので、参考にしてください。
また、英語文法と言えばSVOCです。忘れられがちな学習用語ですが、これを理解しているか否かで、今後の英語学習の成果が変わると言っても過言ではないでしょう。
SVOCを忘れてしまった方、英語学習の効率上げたい方のために、SVOCを可能な限りわかりやすくまとめました。
英語多読のノウハウを知る
英語多読のノウハウを踏まえた上で、英語多読を始めましょう。当たり前に聞こえるかもしれませんが、ノウハウを知らずに始めてしまい挫折する方が多いのも英語多読の特徴です。
英語多読はシンプルだからこそ、意図と方法論を理解した上で進めることが大切です。英語多読に関する書籍を手に取り、英語多読について学ぶ機会を設けましょう。おすすめの書籍は、下記で紹介しています。
自分のレベルに合った多読をする
英語多読では何百冊も本を読むので、少なくとも100冊以上は自分に合った本を見つける必要があります。
「うわ……」と思った方、正解です。結構、大変ですよね。
そこで、おすすめなのが、SSS英語多読研究会の「多読用洋書リスト」の活用です。
SSS英語多読研究会って？
英語多読の第一人者である古川昭夫先生が発足したNPO法人。SSSは、英語初級者でも楽しく始められる多読法「Start with Simple Stories」の略です。
SSS英語多読研究会では、書籍の刊行や論文の発表、学校教師向けの資料配布などを通して、英語多読のよさを広める活動を行っています。
「多読用洋書リスト」では、多読におすすめな洋書が単にリストアップされているだけでなく、実際に本を読んだSSS英語多読研究会の方によって、「YL」（Yomiyasusa Level：読みやすさレベル）がつけられています。そのため、大量の洋書を1冊1冊調べることなく、ご自身のレベルに合った本を簡単に見つけることが可能です。
また、公式HPでは、洋書リストのほかに、実際に多読している方と交流できる掲示板など、さまざまなサポートサービスがあります。気になる方は、下記からアクセスしてみてください。
SSS英語多読研究会の公式HPを見る英語多読のノウハウを知るためのおすすめ本3選
英語多読を始める方も、まさに今英語多読を進めている方も、一度英語多読ノウハウについて深く知ることで学習効率が劇的に上がるでしょう。英語多読のノウハウ本の中でも、特に評判の良い3冊をご紹介します。
英語超初心者さん向け『すべての悩みは量が解決する！英語多読』
英語アレルギーの方でも楽しく読めると好評の一冊です。英語多読のノウハウだけではなく、なぜ日本人は英語が苦手なのか？など、日本人と英語教育について掘り下げて書かれています。この本を読むことが楽しい！という声も多いので、楽しく英語多読について知りたい方にはぴったりです。
amazonで見る英語多読に興味がある人向け『1年でTOEIC985点&英検1級！中学レベルの僕が「読むだけ勉強法」で英語をペラペラ話せるようになった！』
著者の実体験を元に、英語多読の重要なポイントがわかりやすくまとめられています。タイトルがキャッチーですが、中身は至極全うな英語学習論が書かれています。
英語レベルに合った学習法も紹介されており、英語多読＋アルファで英語学習を進めたい人には欲しい答えがこの本で見つかるでしょう。
amazonで見る英語多読に挫折した人向け『英語多読法』
英語多読指導第一人者・古川昭夫先生が英語多読について書かれた本です。特に英語指導者から高い支持を得ており、英語多読経験者からはバイブルと称される一冊です。実際のAmazonレビューをいくつかご紹介します。
単語や文法の勉強をせずたくさん英語の本を読むだけで、どうして英語が上達するのか不思議でした。が、この本を読んで腑に落ちました。書かれている語彙の95％を理解できれば、残り5％は正確に意味を推測できます。こう言ったエッセンスが分かりやすく書かれていて、構成・内容・文章共に説得力があり、著者の知性を感じました。
多読への取り組みは、学校教育でも行われているが、レベルの判断がきめ細かくないこと、または、単に多読として多くの本を読めばいいと理解しているように感じられる。 多読の取り組みを見直し、楽しく良い結果に結び付けられる指針として一度は読んでみる価値あり。
今すぐ始めたい！英語多読に使えるツール
英語多読の良いところは思い立ったらすぐ始められること。英語学習経験者は英語多読のノウハウより先に洋書を読み進め、英語多読の雰囲気を味わい方もいるはずです。
英語多読の雰囲気を知ることで、自分に英語多読が合うか確かめるのも一つの手でしょう。そこで、すぐ手に入れられる英語多読のツールをご紹介します。
『英語多読完全ブックガイド』
古川秋夫先生が編集に携わる、日本で唯一の本格的洋書ガイドです。実際に読んだ上で、英語多読におすすめと認定された書籍が14,000冊が掲載されています。
0.1刻みで日本人にとっての読みやすさレベルが示されているのもこの本の特徴です。「同じレベルの本を読みたい」「次は少しレベルを上げたい」など、自分好みのレベルに合わせた本を選ぶことができるでしょう。
もちろん、英語多読を始めるときに最適な本もレベル0から5まで分けて160冊紹介されています。英語多読初心者必携の一冊です。
amazonで見る英字新聞
英字新聞は英語の宝庫です。膨大な情報量に正確で簡潔な英語など、英語多読に必要なものが凝縮された媒体と言えるでしょう。
コンビニで手に入れることができ、洋書に比べて遥かに低価格なのも魅力です。日本の新聞の英字版なら知らない単語も推測しやすいでしょう。
新聞を読むことが習慣になっている方は、洋書より英字新聞が生活に取り入れやすいですよね。これからは世の中の動きを英語でチェックしてみるのも素敵ですよ。
また、下記では、英字新聞のどこに注目したらいいのか、読んだあとに何をすればいいのかなど、“英字新聞を使った英語学習”のコツを詳しくご紹介しています。おすすめの英字新聞も取り上げているので、よければご覧ください。
TEDなどのスピーチスクリプト
教養と英語力を同時に深めたい方にはピッタリのツールです。TEDとは、世界中の知識人によるスピーチ動画を配信している非営利団体です。過去にはWikipediaの創設者や元アメリカ大統領・ビルクリントンなど、名だたる著名人が講演に参加しています。
スピーチのジャンルも学術・エンターテイメント・デザインなど多岐に渡り、自分の興味がある分野で大きな学びを得ることができます。スピーチ動画もあるので、多読に限らずリスニングも勉強できるでしょう。
Amazonkindle
Amazonkindleをお持ちの方は、真夜中でもすぐに英語多読を始められます。ペーパーレスなので洋書を何冊も持ち歩く必要がありませんし、読み放題サービスに加入すれば月額980円で100万冊以上の洋書が選び放題です。これなら途中で本を投げ出してもお金が無駄になることはありませんよね。
Amazonkindleは読み上げ機能やマーカー機能など、英語学習に使える機能が充実しています。英語多読を機に、Amazonkindle導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
英語多読は、正しく行えば、お金も時間もかけずに早く効果を実感できる英語勉強法です。英語を始めたいけどスクールに通う時間がなかったり、決まった時間に英語学習ができない方は、ぜひ正しく英語多読を取り入れてみてください。
