「英語には敬語はない」はウソ!正しい丁寧な英語で好印象を与えよう

「英語には敬語はない」はウソ!正しい丁寧な英語で好印象を与えよう

「英語には敬語がない」という話を聞いたことはないでしょうか。コレ、多くの人が間違って認識している大きな勘違いです。

確かに、日本語における「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」のような区分はありません。また海外ドラマや映画などで見ると、上司と部下がいわゆる「タメ語」で話していたりして、「向こうの会社員はずいぶんフランクなんだな」と思ったりしたこともあるかと思います。

しかし実際には、英語には英語の丁寧な言い方というものはちゃんと存在しますし、特にビジネスやフォーマルなシーンでは相手に失礼のない言い方を覚えておく必要があります。

また、「英語ネイティブは端的な・ストレートな・簡略な言い回しを好む」というのもたまに聞きますが、これもはっきり言って間違いと思った方が無難です。実際はそのような言い方は相手を不快にさせたり誤解させる危険性すらあります。

今回は英語における敬語や丁寧な表現について解説。知らず知らずのうちに相手を不快にしていた…なんていうことがないように、しっかり頭に入れておきましょう。

結局、英語に敬語はあるのか無いのか

結局、英語に敬語はあるのか無いのか

冒頭でも話した通り、英語に敬語がないという考え方はウソと思っておいた方がいいでしょう。

確かに日本語のように「踊る」と「踊ります」のような丁寧語による言い換え・「言う」と「おっしゃる」のような尊敬語による言い換え・「行きます」と「参ります」のような謙譲語による言い換えに相当するような英語表現は無いというのも事実です。

しかし代わりに「politeness(丁寧さ)」という言葉が英語にはあり、近年の言語学のキーワードのひとつともなっているようです。

では英語における敬語とはどのようなものなのかというと、「言い方」や「相手との距離の取り方」「少し回りくどい言い方」で表現されるものが多いのです。

分かりやすく理解してもらうために、まずは下の「丁寧な表現のレベル」を見てください。

① Open the window.
「窓を開けてよ」
Please open the window.
「窓を開けてくださいよ」
Will you open the window?
「窓を開けてくれるよね」
Can you open the window?
「窓を開けてくれますか」
Would you open the window?
「窓を開けていただけますか」
Could you open the window?
「窓を開けていただけますでしょうか」
Could you possibly open the window?
「できましたら、窓を開けていただけますでしょうか」
I wonder if you could open the window.
「窓を開けていただけたらと思うのですが」
I was wondering if you could open the window.
「窓を開けていただけたらありがたく存じますが」
Would you mind if I asked you to open the window?
「窓を開けてくださいとお願いしてもお気を悪くされないでしょうか」

上記を見るだけでも、英語には敬語がないどころではなく、多彩な敬語的表現があることがお分かりいただけると思います。

ここで日本人が誤解しがちなポイントがあります。例えば③のWill you~などは学校で「丁寧な表現」であるかのように習った人も多いかと思いますが、実際には上記で分かるようにむしろ失礼な方の表現にあたります。

「Will you open the window?」を日本語訳すると「あなたは窓を開けてくれる意思がありますか」となります。相手の意思を尊重していないどころか、「窓開けてくれる気ある?」なんて目上の人でなく友人にですらなかなか失礼ですよね。

ところが、これがWill you ~から⑤のWould you ~に代わるだけで、格段に丁寧なニュアンスを含んだ表現に変わるのです。面白いですよね。

また他にも日本人が誤解している点として「Please」を使えばなんでも丁寧にお願いしているというのがあります。中にはまさに今「え?違うの」と思った人もいるかもしれませんね。実際は上記の例を見ても分かる通り、「Please」を使ったところで大して丁寧な表現ではありません。使うときには注意しましょう。

「Please」は大人が子供に諭すときに使ったりするくらいで、大人に対し使うとともすれば慇懃無礼になってしまいます。ネイティブは日常会話であまり「Please」を使わないくらいに覚えておいた方がベターです。

丁寧な表現は「距離感の取り方」がポイント!

丁寧な表現は「距離感の取り方」がポイント!

さて、では英語でどのように丁寧な表現を使っていったら良いのか。基本的な考え方としては先ほどもお話しした「言い方」や「相手との距離の取り方」「少し回りくどい言い方」がポイントになってくるのですが、相手との距離の取り方が一番重要かと思います。言い方を変えたり回りくどく言ったりするのも全てそこに帰結すると言ってもいいでしょう。ではどのように距離感を取ればいいのでしょうか?

英語の丁寧語には「仮定法」と「過去形」が重要!

ごく簡単に言ってしまうと「仮定法」と「過去形」がポイントになってきます。

「距離感の取り方」がそのまま丁寧さにつながるので、距離感が遠いと丁寧に、距離感が近いと馴れ馴れしく感じます。

つまり現在形より過去形の方が、普通に言うより仮定法を使った方が適度な距離感を作り丁寧な敬語表現となるのです。

先ほどの①~⑩を例に見ても、①→⑩と丁寧になっていくに従って過去形・過去分詞・仮定法が入ってくるのがお分かりになるかと思います。

距離感を取るべきタイミングとは?

これはタイトルがそのまま「敬語はいつ使うべきか?」という質問にもなるのですが… 基本的にはビジネスシーンや、そこまで関係性のない相手に対して使うべきでしょう。例えば初対面の相手、店員さんや駅員さん、友達や家族以外の年齢の離れている相手、役職がかなり上の相手、学校の先生などです。

とはいえ、実際にはその相手との関係で変わってくる部分もあります。例えば刑事ドラマなどでは、上司にもフランクな口をきく刑事などはよく見ますよね。しかしそんな刑事でも、被害者の家族と話すときはとても丁寧な言葉使いをしていたりします。

とりあえず敬語を使っておけば問題ないかと問われると、相手と仲良くなりたいとき(職場の同僚など)にも丁寧な言葉ばかり使っていては距離が縮まらない場合もあるので一概には言えません。

しかしこのあたりは日本語でも同じこと。相手とどのくらいの距離感かを把握し、どんな表現であれば失礼にあたらないか・相手を不快にさせないかを考えたうえで発言すればいいでしょう。

問題は先ほどの「Please」の件のように、日本人が丁寧な言葉だと思っていても実際は違うケースがままあることです。本人はむしろ敬語のつもりで言っているのに、相手には不快に思われてしまった…そんなこと可能性が少しでも少なくなるよう、少しでも多くの正しい丁寧表現を覚えておきましょう。

直接表現を避けクッション言葉を使う

冒頭の方でも話したように、英語ネイティブは端的な分かりやすい言い方を好むというのはイメージであり誤りです。英語で敬語を使う際は、むしろ直接表現を避けクッション言葉を使って回りくどくするのが定石です。クッション言葉には例えば以下のようなものがあります。

Would you mind if I opened the window?
(窓を開けてもよろしいですか?)
Perhaps you could give me a call when you arrive there.
(そこについたら私にお電話いただけますか?)
I was wondering if I could talk to you for a moment.
(少しお話しできないかなと思っていたのですが。)
May I ask ,how old are you?
(失礼ですが、お歳はおいくつですか?)
If it’s not too much trouble for you, could you give me a ride?
(もしご面倒でなければ、乗せて行っていただけますか?)
I wish I could, but I’m afraid I have to go now.
(参加したいのはやまやまなんですが、あいにくもう失礼しなければいけません。)
Do you happen to have a pen?
(もしかしてペンをお持ちですか?)

①の「Would you mind if」のmindは「気にする」という意味で、Would you mind ifで「もし〜だったら気にされますか?」となります。仮定法が入っていますね。

②の「Perhaps you could」は「もし可能であれば」という意味。これも過去形と仮定法です。

③の「I was wondering」は過去進行形で「前々からちょっと思っていたんですが」というようなニュアンス。相手の許可をもらったり依頼をするときに、直接的な表現を避けて使います。

④の「May I ask(失礼ですが…)」は、よく聞きますよね。英語圏では「女性に年齢を聞く」とかだけでなく、相手のプライベートな情報を軽々しく聞くことは避けられているので注意してください。どうしても聞く必要があるときにMay I askを使います。

⑤の「If it’s not too much trouble」は「もしそれが面倒過ぎなければ」の意。

⑥の「I wish I could」は、誘いを断るときに「参加出来たらいいのですが」と相手を思いやった表現になります。

⑦の「Do you happen to ~」で「もしかして~」という意味になり、遠回しの表現となります。ここでもあえて回りくどい表現を使うことによって、丁寧さや相手への気遣いなどを表しています。

他にも譲歩の表現として「Unfortunately,~(残念ですが~)」や「I’m afraid that~(申し上げにくいのですが~)」などがあります。特にビジネスで英語を使う可能性がある人は覚えておいて損はないでしょう。

5W1Hを避ける

5W1Hは基本として習ったと思いますが、これを文頭に持ってきた文、例えば「What’s your name? 」のような言い方は子供に言うような表現です。大人に聞くときは「May I have your name? (お名前をお伺いしてもいいですか?)」のような表現が無難です。

言葉を置き換える

実は同じ意味の言葉でも、丁寧な言い方があります。全てを列挙することはできませんが、こういう言い方があると覚えておくだけでも英会話力が格段に変わってくるので気にするようにしてみてください。

ask → inquire (聞く)
do → execute (実行する)
thank you → I appreciate your help (感謝する)
I am sorry → I apologize (謝罪する)

まとめ

まとめ

今回は、英語にも敬語・丁寧な表現があるというお話でした。今回のtipsを知らなくても英会話はできますが、ちゃんとした敬語が使えないと子供のような印象になり大人としてふさわしい話し方にはなりません。

(もちろん相手が「ああ日本人だから英語が得意じゃないんだな…」と察してくれることは多いでしょうが、それに甘えてばかりではいけないことはお分かりですね?)

今回紹介した以外にも「相手を不快にさせない表現」「相手の気持ちを思いやった表現」はたくさんあります。ただ「敬語を使っとけば問題ないだろ…」ではなく、相手のことを考えた会話ができるようになりたいものですね。

BRIT編集部
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