英語の形容詞には順番があるんです。AN OSAS COMPの呪文を覚えよう。

英語の形容詞には順番があるんです。AN OSAS COMPの呪文を覚えよう。

皆さんは英語の形容詞(adjective)についてどのくらい理解していますか?

名詞を修飾して様子や状態を表す品詞でしょ?」

はい、その通り。しかし、複数の形容詞をいくつもつなげて使う場合、形容詞の並ぶ順番には規則があるって知っていましたか?

複数の形容詞を使う場合とは、例えば日本語で言うと次のような文です。

「美しくて大きく丸い木製のテーブル」
「綿の白色の古いシャツ」
「黒くて小さいビニール袋」

日本語だと「小さくて黒いビニール袋」だろうが「白い綿のシャツ」だろうが違和感はありませんが、実は英語の形容詞は割と厳格に順番が決まっています。順番を守らなくても意味は通じますが、ネイティブの人に違和感を与えてしまうのです。

今回は、ネイティブなら自然に使っているけれど日本人にとっては理解しづらい「形容詞の順番」について解説していこうと思います。より自然な英語でネイティブに近づきたいと思っている人は、ぜひ覚えておきましょう。

形容詞の順番とは

形容詞の順番とは

まず最初に、形容詞の順番の結論から見てしまいましょう。下の表をご覧ください。

Article(冠詞/限定詞) a, the, an, this, myなど
Number(数字) one, three, tenなど
Opinion(評価) pretty, extraordinaryなど
Size(大きさ) small, bigなど
Age(新旧・老若) old, youngなど
Shape(形状) thin, roundなど
Color(色) pink, blueなど
Origin(出身) Canadian, Scottishなど
Material(材料) metallic, leatherなど
Purpose(目的) baking, indoorなど

見ての通り、それぞれの頭文字を取ったのが
AN OSAS COMP (アン・オサス・コムプ)」です。この言葉自体には意味はありませんが、ネイティブはこれを学校で習う場合もあるようです。

この表に沿って、形容詞の多い文を英語にしてみましょう。

「美しくて大きく丸い木製のテーブル」
a beautiful large round wooden table

opinion → size → shape → material の順番になっているのが分かりますか?

ネイティブでもこのAN OSAS COMPを全員が習うわけではなく、またそもそも形容詞の順番など意識せずに感覚で使う人も多いですが(日本語でもそうですよね)、大体がこの順番に沿っていることが多いようです。そのため「絶対ではないが、日本人の英語学習者はこれに従っておいた方が無難」と思っておいた方が賢明です。

また教える人によってはこの10種類が6種類だったり8種類だったりします。6種類の場合はOpinion・Shape・Age・Color・Origin・Materialで「op-sh-a-c-o-m (オプシャコム)」などと呼んだり、8種類の場合はOpinion-Size-Age-Shape-Colour-Origin-Material-Purposeで「OSASCOMP(オサスコンプ)」と習う場合もあるようですが、本記事では10種類として説明していきますね。

形容詞の順番を理解するためのポイント

形容詞の順番を理解するためのポイント

次に、形容詞の順番を理解するためのポイントについて解説していきます。

ポイント~主観から客観へ

表をもう一度見てください。上の方が順番が早く、下に行くほど順番が後になります。つまり下の方ほど修飾する名詞に近くなり、上の方は文の先頭に近くなります。

Article(冠詞/限定詞) a, the, an, this, myなど
Number(数字) one, three, tenなど
Opinion(評価) pretty, extraordinaryなど
Size(大きさ) small, bigなど
Age(新旧・老若) old, youngなど
Shape(形状) thin, roundなど
Color(色) pink, blueなど
Origin(出身) Canadian, Scottishなど
Material(材料) metallic, leatherなど
Purpose(目的) baking, indoorなど

この順番ですが、基本として「主観から客観へ(もしくは意見から事実へ)」という考え方があります。上の方ほど主観的な形容詞で、下に行くほど客観的な形容詞になる(傾向がある)ということです。

「a beautiful large round wooden table」という文を思い出してください。冠詞のaはもう一番前に来るのが決まり事として、次に来るのが「beautiful」。美しいかどうかは主観的なOpinion(評価)になりますね。その次にSize(大きさ)が来ます。これはOpinion(評価)に比べると客観的な事実ですよね。その後もshape → materialと客観的な形容詞が続きます。

表の下の方、Origin(出身)とかMaterial(材料)などは、人の主観によってあまり変わる余地がない客観的なものの典型と言えますね。

この主観→客観という感覚は、我々日本人の英語学習者にとっては覚えておいた方が実際に使うときに役立ちます。

最低でも「Opinion(評価)が先」という風にインプットしておくと、文が作りやすくなりますよ。

「and」が必要な場合

形容詞を並べるときは今まで説明してきたように基本「and」は使いませんが、例外があります。それが「Color(色)」を2つ以上並べる場合です。

a black and blue dress(黒と青のドレス)
yellow, white and green socks(黄色、白そして緑の靴下)

厳密には、色の中でも優先順位があるようです(black and whiteとは言うがwhite and blackとは言わない等)が、とりあえずそこまで覚えなくてもいいでしょう。

名詞を形容詞として使う場合

名詞をそのまま形容詞として使う場合があります。その場合は、修飾する名詞の直前に置くのがルールです。下の例を見ていただければ一目瞭然かと思います。

a dog food
a tennis player
a soccer field
a space travel

AN OSAS COMPそれぞれの解説

AN OSAS COMPそれぞれの解説

それでは、「AN OSAS COMP」それぞれについて詳しく見ていきましょう。

①Article(冠詞/限定詞)

限定詞とは、「a,an,the」などの冠詞、「my,his」などの所有格、指示代名詞「this,that」「all,some,any」その他、数に関する基数や序数(first,secondなど)の総称です。とにかくこれが頭と覚えておきましょう。

なので、例えば「私の2人の子供」という場合「two my children」は誤りです。限定詞が一番先で数字は2番目ですから、正しくは

my two children

となります。とにかくaとかtheとかmyとかは先頭、と覚えておくことです。

②Number(数字)

数字は文字通りone, three, tenなどですが、実は数字も限定詞のひとつです。しかし他の限定詞と分けられ、順番は2番目となっています。first,secondなどの序数は1番目に入っているんですね。このへんはあまり深く考えず、数字は2番目と何となく思っておく程度で大丈夫です。

③Opinion(評価)

限定詞や数字はとにかく頭と覚えましたね。そうしたらいよいよ次に来るのがOpinion(評価)です。

lovely(愛らしい)・beautiful(美しい)・wonderful(素敵な)・difficult(難しい)のように個人の意見・主観的な評価・感想を表すもので、人によって変わる可能性があるものがこれにあたります。

美しいとか難しいとかは人によって変わるので、まさに主観というやつです。

④Size(大きさ)

次に来るのがSize(大きさ)です。この部分もまだいくらか主観的といえます。なぜなら「大きいか小さいか」「高いか低いか」「狭いか広いか」などは人によって変わる余地があるからです。180cmの男性を「背が高い」と見るか「普通」と見るかは人それぞれですよね。

big(大きい)・large(大きい)・little(小さい)・small(小さい)・tiny(小さい)・tall(高い)・short(低い、短い)などの単語がこれにあたります。

ちなみに、形・数量・規模などを表すときは「big」、形・面積・容量などを表すときは「large」、客観的にサイズが小さいときは「small」などと使い分けられるということも覚えておきましょう。

⑤Age(新旧・老若)

old(古い)new(新しい)young(若い)antique・ancient(古来の・古風な)のように、人の年齢や物ができあがってからの年数を表す際に使われるのが「Age」。そしてなぜかここにはhot(熱い・暑い)cold(冷たい・寒い)なども含まれます。これはどうしてなんでしょうかね。

Shape(形状)

rectangular(長方形の)flat(平らな)square(四角の)round(丸い)など、物の形や長短や厚さなどの形状を表すのが「Shape」です。

Color(色)

これはもう文字通り「色」です。ただ、「ピンク」「青」「金」などの具体的な色のほかにも「濃淡」「明るさ」「鮮やかさ」のような色の状態を表す語も含まれます。

例:red(赤い)blue(青い)dark(濃い)pale(淡い)bright(明るい)vivid(色鮮やかな)…など

Origin(出身)

これはどこの国や地域から来たのかなど、そのものの由来を指すような言葉です。Japanese(日本の)Swedish(スウェーデンの)などのような言葉だけでなく、Asian(アジアの)やVictorian(ビクトリア朝の)European(ヨーロッパの)などもここに含まれます。この辺はもう客観性の入る余地はないですね。Japanese(日本の)といったらもうそれしかないからです。

ちなみにこれらは「固有形容詞」と呼ばれるもので、固有名詞から形容詞になったもの。国名や人名は、普通は大文字から書き始めるのがルールです。

Material(材料)

修飾する名詞が何の素材、物質から作られているのかを表すのが「Material(材料)」です。metallic(鉄製の)wooden(木製の)cotton(木綿の)woolen(ウール素材の)paper(紙製の)などが該当します。

Purpose(目的)

最後が「Purpose(目的)」。これはちょっと難しく感じるかもしれませんが、それが何に使われる物なのか「用途」や「目的」を表す形容詞です。特に動名詞(動詞+ing)や不定詞(to+動詞)のような、動詞から転じたものが多く使われます。

「tennis ball (テニスボール)」のように「名詞 + 名詞」で表したり、「driving career (運転歴)」のように「動名詞(- ing)」で表わしたりすることもありますよ。

実際にどう使うか

実際にどう使うか

それでは、これまでの内容を踏まえて実際にどう使うかを見ていきましょう。要は、「ネイティブが聞いて違和感をおぼえるかどうか」です。ネイティブにすると、「意味はわかるけど違和感を感じてしまう」のがこの形容詞の順番。その人の英語力とかは関係なく、「この人ドラッグでもやってんじゃないか?」みたいな根本的・生理的な部分での違和感まで感じてしまうそうなんですね。

そう思われないためにも、「正しい形容詞の順番の『感覚』を身に着けましょう。以下の例文で違和感を感じなければ、あるいは感じればオッケーです。

○ two good old red American baseball caps
☓ two red old good American baseball caps
二つの良くて古くて赤いアメリカのベースボールキャップ

○ three tall young basketball players
☓ young tall three basketball players
若くて背が高い3人のバスケットボール選手

○ my useful big black shopping bag
☓ my big black useful shopping bag
私の大きくて黒い便利なショッピングバッグ

どうでしょう?日本人でも、ある程度英語に慣れている人であれば「☓」の方に違和感を感じる人も多いのではないでしょうか。その感覚が大事です。自分で英文を作る場合でも何か違和感を感じたら、AN OSAS COMPを思い出すとしっくりくる文章になるかもしれませんよ。

まとめ

まとめ

英文法あるあるで「基本はこの法則が当てはまるが、例外も数多くある」とか「ネイティブの中でも意見が分かれることもある」というのがあります。その例外とかが我々を悩ませるわけですが、今回の内容に関しては英語文法の中でも珍しく例外はほとんどないといってもいいでしょう。

間違っていても意味は通じるレベルの話ではありますが、やはり英「会話」ですから相手に違和感を与えないというのも大事。より生の英語に近づきたいなら、今回の内容は頭に叩き込んでおいて損はないと思いますよ。

BRIT編集部
【この記事を書いた人】BRIT編集部 大人のための英会話の勉強方法や話題の英語教材をご紹介しています。
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