英語の言い換えが得意になる方法とは?パラフレージング(paraphrasing)で表現力を上げよう

英語の言い換えが得意になる方法とは?パラフレージング(paraphrasing)で表現力を上げよう

今回は英語で同じことをどう言い換えて表現するか、という点にスポットを当ててみたいと思います。

「英語で」と言いましたが、実際は日本語で日本人同士が話すときにも「言い換え力」は必要です。

今回考えていく「言い換え」に関しての解説は、語彙力・ボキャブラリーの多さの重要性だけでなく、言いたいことが伝わらなかったときにとっさに簡単な言葉にして説明する方法など、実際に会話の中で役立つ内容となっています。

より上手な英語をマスターしたい人や、相手と円滑にコミュニケーションを取りたい方はぜひ目を通してみてください。

英語の言い換えはなぜ必要なのか

英語の言い換えはなぜ必要なのか

まず、言い換えがなぜ必要なの?というところから説明していきましょう。

相手に伝われば別に言い換えなんて必要ないんじゃないの?

一つの言い方だけ覚えるのも大変なのに、同じことを別の表現で言うのを学ぶ時間なんて…

いえ、違うんです。言い換えができることによるメリットはいくつもあります。逆に、必須である場合すらあるのです。

ボキャブラリーが貧困な人と思われるのを防ぐ

会話にボキャブラリー、今回の場合で言うと同じことを別の言い方で言い換える力が無いとちょっと「頭の悪い人」に見られかねません。

ですがひとまずは安心してください。そもそも、言い換えというのは日々の生活の中でも普通に行われています。ビジネスシーンで敬語を使えないと「なんだあいつ」と思われるように、必要に応じて言い方や表現を変えることは日常的なことなのです。

しかし、ビジネスの場だけでなく日常会話にしても、同じ単語や同じ言い回しを会話の中で何度も繰り返していると相手は「ボキャブラリーが貧困な人だな…」とまではっきりは思わないにしても、何となく「話すのがヘタ」果ては「幼稚な人」「知性が乏しい人」というようなイメージまで抱いてしまいます。

ワンパターンな表現から脱却することによって表現力も広がりますし、相手との会話をより楽しむことができるようになるのは言うまでもありません。

伝わらなかったことを別の表現で伝えることができる

日本人同士でもありますよね、あることを説明しても全然伝わらなかったので別の言い方をしてみたら(例えを使うとか)、「あー!」と理解してくれたという経験。

これが英語になると、さらに伝わらない確率が高くなるのは言うまでもありません。そんなときどうするか、日本語のときと同じです。別の言葉を使ったり、違う表現で説明してみるのです

伝わらないパターンにも2種類あります。相手がその単語を知らない場合と、こちらが何という単語で表したらいいか分からない場合です。

しかし相手もしくは自分が「冷蔵庫(Refrigerator)」という単語を知らなかったとしても、「Big white box in the kitchen. It has food(あの~あれ、キッチンとかにあるでっかい白い箱で、中に食べ物が入ってるやつ!)」などと説明することはできますよね。

単純に「ある単語の別の言い方」でなくとも、「ある単語を知っている限りの簡単な表現を駆使して説明する」。これも「言い換え」の力と言えるでしょう。

パラフレージング(paraphrasing)って何?

パラフレージング(paraphrasing)って何?

さてここでパラフレージング(paraphrasing)という言葉について説明します。といっても答えは簡単、「言い換え」のことです。

ただ意味としては「言い換え」ですが、英語学習のトレーニング法のひとつの名前でもあります。聞いた英文を後について繰り返す「シャドーイング」よりももう1・2歩進んだステージの訓練法と思っていただいて構いません。繰り返すのではなく言い換えるのですから、難易度が高いのはお分かりですよね。

ちなみに「シャドーイングって何?」という人は下記記事を参照してください。

このパラフレージングという練習法はプロの通訳者になるためのトレーニングなので確かに難易度が高いのですが、すぐにそういう人たちと同じトレーニングをしろというわけではありません。「常に頭の片隅で意識しておく」ことで、通常のレッスンのときにも潜在的な効果を発揮してくれるはずです。

さて、パラフレージングにも3つの段階があります。ひとつひとつ見ていきましょう。

単語レベルの言い換え

いちばん単純なのが単語レベルでの言い換えです。例えば、

I would like to get a taxi.
(私はタクシーを1台つかまえたい。)

という文章は、下記のように単語を入れ替えることができます。

I would like to take a taxi.

I would like to grab a taxi.

I would like to call a taxi.

getは「得る」、takeは「取る」、grabは「つかみ取る」、callは「呼ぶ」なのでそれぞれ微妙にニュアンスは違うのですが(この「ニュアンスの違い」を把握するのも英語は大事なのですが)、文章としての大意は変わりません。

表現レベルの言い換え

単語レベルより少し上がると表現レベルでの言い換えになります。例えば以下のようなものです。

What do you think about it?
(それについてどう思いますか?)

How do you feel about that?
(それについてどう感じますか?)

こちらも意味的にはほとんど変わりませんね。

構文レベルの言い換え

最後は構文レベルの言い換え、いわば全く違う言い方にするので最も難易度は高いです。例えば、

I don’t understand your idea.
(あなたの考えは理解できません)

という文のパラフレーズは

You don’t make sense.(あなたは筋が通っていない)

Your idea is not so good.(あなたの考えは良くはない)

などが考えられます。これらもニュアンスは微妙に違いますが、多くの場合同じ意味として使うことができるでしょう。

パラフレージングの効果的な使い方

パラフレージングの効果的な使い方

ボキャブラリーを多く見せることや、伝えずらいことを伝えるメリットがあるパラフレージングですが、効果的な使い方というのもあります。解説していきましょう。

シンプルに表現する

難解な言い回しをシンプルに。これもパラフレージングを効果的に使うべき場面といえます。例を見ていきましょう。

I’d like to make a reservation for a room which has an ocean view.
(海が見える部屋を予約したいです)

これは文章としては間違っていませんが、「make a reservation for 」が少し長い言い方のように思えます。実は、同じ意味で「book(予約する)」というワードがあるのです。同様に「a room which has an ocean view」も「ocean view room」と形容詞にしてしまうことで短くできます。

I’d like to book an ocean view room.

よりすっきりと短く、かつ簡潔に要件を伝えられますね。

やさしい表現にする

英語も日本語の敬語などと同じく、「そのシチュエーションで使うには少々かしこまりすぎた言い方だ」という言い回しがあります。会話では、相手に変な雰囲気を感じさせないよう優しい言い回しに言い換えることも重要です。

Our team consists of members from Europe and Asia.
(私たちのチームはヨーロッパとアジアから来たメンバーで構成されています)

日本語の時点ですでにかしこまった言い方になってしまっていますね。大した内容でなくても、一度頭の中で「?」と考える時間が必要になってしまいます。

Our team has Europeans and Asians.

これだけ短く、しかも内容が分かりやすい優しい文にできます。

ほかにもisを使わないで話す・能動態で話す・接続詞ではなく前置詞を使うなど、文章をシンプルかつより実際の会話文に近い形で表現するやり方がたくさんあります。ネイティブと話すとこういった言い回しが多く出てくるので、映画やドラマなどで見かけたときはぜひ覚えるようにしてみてください。

パラフレージングをトレーニングする更なるメリット

パラフレージングをトレーニングする更なるメリット

パラフレージングを積極的にトレーニングするようになると、上で書いてきたようなこと以外のメリットもあります。結論から言うと、英語を英語のまま理解する英語脳が鍛えられるということです。

当サイトでは何度となく言及しているこの「英語脳」。英語を一度日本語に翻訳してから理解するのではなく、英語のまま理解することが英語学習の大きなポイントです

パラフレージングはこの脳を鍛えるのにもうってつけです。英語の類義語・同意語を理解し、いちいち日本語に翻訳せず英語→英語に表現を広げるいい練習になります。英英辞典類語辞典が有効なので、効果的に活用していきましょう。

パラフレージングで注意する点

パラフレージングで注意する点

上のほうでも書きましたが、パラフレージングで同じような内容を言ったときに微妙にニュアンスが異なる場合があります。これを理解しないまま使うと相手に悪印象を与える恐れがあるので注意したいところです。例えば、

should(~すべき)

had better(~したほうがよい)

上記は言い換えが可能な例ですが、日本語訳のニュアンスを見る限りでは「~すべき」の方が強いニュアンスで、強制に近い雰囲気を感じるかもしれません。

ですが実際には英語では逆。「had better」の方が「~したほうがよい(しないとひどい目に合う・まずいことになる)」のような忠告や脅しのニュアンスを含む表現になるのです。

このニュアンスを知らなければ、良かれと思って相手に言ったことが結果的に戸惑わせたり怒らせたりすることにもなりかねません。

これは言い換えに限りませんが、英語を使うときは可能な限りその単語や言い回しに付いて回るニュアンスまでイメージして覚えるのがベターです。そのためにも、英語を日本語に翻訳するのではなく英語のまま理解する能力が重要となってくるのは言うまでもありません。

母国語の表現力も大事

母国語の表現力も大事

ここまでちゃんと読んでくださった方なら薄々感じていると思いますが、言い換えには英語力だけでなく国語力(日本語能力)も大きく関わってきます。

英語を英語のまま理解するのが重要だってさっき言ったじゃん!と思うかもしれませんが、これは「考え方」の問題です。同じことを表現するのに自国語でひとつの表現しかできないようであれば、それは考え方として表現力が足りないのです。

英語すらまともに勉強できていないのに国語の勉強までしなくちゃなんないのかよ…なんて思わないでください。今から現代文の参考書を買えとか、まいにち本を読めとかそういうことを言っているのではありません。(もちろんそれができるのなら言うことはありませんが)

日常生活の中でふと耳に入ってきた言い換えフレーズとか、「こういう言い方もできるな」という文を見つけたら覚えたりメモするクセをつけてみてください。むしろ言い換えのヒントは日常生活のそこら中に埋もれています。

我々はいま英語を学習しているのはもちろんですが、根本にあるのは「言葉を学んでいること」。言葉が相手に何かを伝えるためのツールなのは日本語も同じです。英語力をさらにアップさせるコツのひとつとして、日本語にも気を遣うようにするとさらに素敵な会話ができるようになるかもしれませんよ。

まとめ

まとめ

英語の言い換えについて学んできましたが、重要性が理解できましたでしょうか。

今回の内容は英語学習においては少々ハイクラスな内容で、初心者がすぐにトレーニングするようなものではないかもしれません。

ですが途中でも書いたように、頭の片隅で意識しておくことが大事。英語学習のなかで「これは言い換えのいい例だな」とか「別の文章でも使えそう」などとアンテナを立てておくクセをつけておけば、英語の他のトレーニングにおいても役に立つのは間違いありません。

どんな学習方法も、それ単体で成り立っているのではなくお互いに関係しあって英語力を高めていくものです。パラフレージングも同様に、英語力をさらにワンランクアップさせる武器として取り入れていければいいですね。

BRIT編集部
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