英語のスモールトークとは?身につけた方がいいの?うまいやり方は?
皆さんは「スモールトーク(small talk)」という言葉をご存じでしょうか。アメリカでもよく使われる言葉で、「ちょっとした雑談・世間話」という意味になります。社交会話とも言い換えることができ、要は久々に会った人やビジネスの商談相手と挨拶程度に行う軽い会話のことです。
これは英語だけでなく日本語でも、顔見知り程度の人とエレベーターで一緒になって話す話題がなく気まずい…とか、これから商談をする相手だからまず仲良くなっておきたいので軽い話題で場を温めないと…なんていうときに当たり障りのない会話をするというのは「あるある」ではないかと思います。
英会話でも当然スモールトークは大事なものと思われており、むしろ日本語以上にスモールトークが大事という意識があるようです。そのため、英語学習においても重要視されるようになってきています。
今回は英語でのスモールトークについて解説。どんな話題を振ったらいいの?とか、相手に失礼のない聞き方など、英語だけでなく日本語での会話にも役立つ情報となっています。
目次
スモールトークは何のためにする?
まず、スモールトークは何のためにするのかということについてです。冒頭でお話したように、とりあえず何か話さなければという必要に迫られてする場合もありますが、実際には相手との距離を縮めたり緊張を和らげたりするものです。お互いの共通点を見つけたり相手に興味を抱いたりすることで、人間関係を築いていきます。
たわいのない会話からスタートすることによって、そこまで親しくなかった人とより仲良くなったりすることもあります。またビジネス・ミーティングや交渉を行う場合でもいきなり本題に入ることは少なく、まずは簡単に世間話(スモールトーク)をしてそれから本題に入ることが多いです。
このように、スモールトークは英語だけでなく日本語でコミュニケーションを行ううえでも普通に行われているものです。会社の就職の面接、会社のミーティングなどにもスモールトークは頻繁に使われています。
スモールトークを効果的にすることによって気持ちの良い時間を共有でき相手とよりコミュケーションを取りやすくなるため、人によってはビジネスシーンでむしろ重要視されることすらあります。
また海外の方が日本よりカジュアルにスモールトークが繰り広げられる印象もあります。例えばエレベーターに乗り合わせた乗客同士で会話したりとか、日本ではほとんど見られない光景ですよね。
しかし海外ではこういった光景は日常茶飯事です。ただ単に彼ら彼女らがフレンドリーだからというわけではなく、エレベーターのような密室で相手が警戒心や恐怖を抱かないようにという側面もありますし、ふと出会った人間と軽いコミュニケーションを取ることが社会生活を円滑にする手段のような気もします。
またオンライン英会話では講師が最初のスモールトークを重要視していることも多く、スモールトークで挙がった話題を授業の内容に反映させてきたりすることもあるようです。このような場合も含め、スモールトークは内容は重要でなくとも多くの場面で必要なものと言うことができるでしょう。
どういった会話がスモールトークになるのか
スモールトークが単なる雑談や世間話とは異なる点としては、「あえて重要ではないトピックを選ぶ」というところです。最も一般的なのは「天気の話」でしょう。日本人同士でもあるあるですよね。また「最近どう?」といった振り方も久々に会った人とはよくやり取りされるものです。
ポイントとしては、「楽しい会話」というのが特徴になります。楽しくない会話や敵対的な態度の会話などはスモールトークとは呼ばれません。あくまで相手と楽しく会話するためのものなので、天気や近況の話などいわゆる「無難な話」がよく使われることになります。
海外ドラマや映画を観ていると、スーパーでのレジスタッフとの会話やタクシー運転手との会話などちょっとした会話でも小粋なジョークを挟んできたりしますよね。もちろん全ての人がそうだというわけではないでしょうが、他人とのちょっとしたやり取りを楽しむというのはコミュニケーションを大切にしていることの現れといえるかもしれません。
スモールトークとチャットとは違うの?
似たような「おしゃべり」という意味を持つ単語として「チャット(chat)」というのは皆さんご存じかと思います。この2つの違いは、スモールトークがあまりお互いをよく知らない者同士の会話なのに対しチャットはよく知っている者同士で行われる雑談ということです。
どっちでもいいじゃんと思われるかもしれませんが、この違いを理解していないとトラブルに繋がることになります。
「ちょっとおしゃべりしようよ」という軽い気持ちで「let’s have a small talk.」と言ってしまうと、意図とは違い「ちょっと話があるんだが」というような、悪い話をするようなニュアンスで受け取られてしまいます。
この場合、本当に軽いおしゃべりをしたいだけなら「let’s have a chat.」の方が正解です。不用意に「スモールトーク」というワードを使って相手を身構えさせないようにしましょう。
また同様におしゃべりしたいと思う気持ちを伝えるなら「最近どう?」という意味を持つ「What’s new?」「What’s up?」「What have you been up to?」を使うのも有効です。
スモールトークで注意したい点とは?
今まで述べてきたとおりスモールトークというのはあまり重要でない話題による雑談ですが、そんなスモールトークにも一定のマナーが存在します。これは英語だけでなく日本語にも当てはまるので、すぐにピンとくるでしょう。あまり堅苦しくとらえる必要はありません。
プライベートな話題は避ける
スモールトークは、あまり親しくない間柄で行われることが多いです。そんな中でプライベートに踏み込んだ質問をしたりするのは失礼にあたることがあります。また日常会話にしろビジネス会話にしろ、相手の年齢を聞くことはあまりありません。
ここでいう「プライベートな」というのは、プライベートに関わることは何でもNGということではありません。例えば「最近どう?」とか「週末何してた?」などはプライベートといえばプライベートですが、そこまでが忌避されるわけではありません。また家族構成や趣味などについて軽く聞くのも嫌がられることは少ないといえます。
要は日本語で話すときと一緒で、プライベートに突っ込みすぎた内容は嫌がられるということです。おそらく皆さんが日本で生活しているときには無意識にできていることだと思うので、英語のときでもちょっと意識しておけば大丈夫でしょう。
宗教的・政治的な内容は避ける
プライベートな話題ということにも関連する話ですが…日本でも「飲みの席では宗教や政治の話はするな」と言われることがありますが、それは揉め事の原因になるからです。誰しも心情や考え方があり、それを否定されたり相反するようなことを言われたりすると怒りや悲しみなどの感情が起きかねません。
深い人間関係の間柄ではその限りではありませんが、少なくともスモールトークをする程度の関係性の相手であればわざわざ政治や宗教の話をするのは避けたほうが賢明です。ニュースの話題も意図せずそこに触れることがあるため気を付けましょう。お金の話なども同様です。
会話が続くような振り方・答え方をする
エレベーターでちょっとした顔見知りと一緒になったとき、「いい天気ですね」「そうですね」「……」で会話が止まってしまったら…と思うとゾッとしますよね。このようにYesかNoのみで答えられる単純な質問は避けるようにすると話題が膨らみます。
そうはいっても、「今日はいい天気ですね」くらいの質問や会話はやはりするでしょう。そういった振り方をされた場合には、された側がオウム返しで繰り返したり、逆に質問し返したりすると話が止まるのを防げます。
例えば、「いい天気ですね」「そうですね」よりは「いい天気ですね」「そうですね、今日はとてもいい天気です」の方がより会話らしいですし、「最近調子はどう?」「好調です。あなたは?」の方が話が膨らみますよね。
相手の話に興味を示す
これも日本語での会話と同様ですね。せっかく相手が話しかけてくれているのに、スマホを見たまま空返事をするとか、適当にしか相槌を打たないとか、相手に興味がないと感じさせるのは言語道断です。単純に失礼ですし、コミュニケーションの機会を自ら捨てていることになります。
スモールトークは重要でない話題ではありますが、どうでもいい話題ではありません。スモールトーク自体はとても重要だということを忘れないでください。
褒められたときに過剰に否定しない
日本人はよく言われるようにとかく謙遜しがちな傾向があります。しかし英語圏では、せっかく褒めたのに「いや全然そんなことないですよ、いやいや私なんて…」などとネガティブな反応をすると相手も気分を損ねますし、会話もそれ以上弾みません。
例えば褒められたら素直に「ありがとう」を伝え、「あなたの〇〇も素敵ですね」のように相手を褒め返すようにするなどするとさらに効果的です。
また家族のことを謙遜して言うのもNG。自分の妻を褒めたり家族への愛を語るのは、アメリカなどでは普通のことです。逆に変に自分の家族のことを卑下して言ったりすると、下手をすると人間性を疑われることにもなりかねないので注意しましょう。
スモールトークの実践の仕方
基本的には、スモールトークというのは相手と仲良くなりたいとか良いコミュニケーションを取りたいという気持ちから自然に湧き出てくるものだとは思います。しかし、実際にはそうでもない相手とやむを得ず会話しなければならないときもあるでしょう。そんなときに役立つ実践方法を覚えておきましょう。
その1:Anchor(アンカー)
まずは共通の話題を見つけること。それをAnchor(アンカー)と呼びます。「Tonight’s event was fantastic, wasn’t it? (今夜のイベントは素晴らしかったと思いませんか?)」など、共通の話題さえ見つけることができれば後は話が弾むだけでもう勝ったも同然ですね。
その2:REVEAL(リヴィール)
共通の話題が見つかったら、そこからさらに関係性を深めるためにその共通の話題に関連した自分の情報を打ち明けます。これがREVEAL(リヴィール)です。「This is my 3rd time attending this event and it’s been always great. (このイベントは3回目ですが、いつもとても良いですよ。)」など自分の過去の体験などの情報を相手に提供すれば、Anchor(アンカー)で掴んだ話の流れを汲んでさらに相手との関係を深めることができます。
その3:ENCOURAGE(エンカレッジ)
自分の情報を提供して相手が興味を持ってくれたら、今度は相手から話を引き出す段階。これがENCOURAGE(エンカレッジ)です。「So what about you? Is this your first time attending this event?(あなたはこのイベントに参加するのは初めてですか?)」などと質問すれば、相手が自分の体験を話し始めてより関係性を深めるのに役立つでしょう。
まとめ
駆け足でスモールトークについて解説してきましたが、重要性について理解していただけましたでしょうか?
要は、スモールトークというのはお笑いに例えると相手とコミュニケーションするうえでの「つかみ」です。たとえ何ということはないその場だけの関係であっても、相手の心をつかんでコミュニケーションをより良いものにするといった姿勢は人生をより良くしてくれますし、また英語圏では普通のことでもあります。
とかくシャイだと言われがちな日本人こそ、スモールトークの極意をつかめばより英語でのコミュニケーションを充実させることができるのは今回話してきた通りです。
これを極めれば、英会話だけでなく日本語での日常生活でも大いに役に立ってくれると思いますよ。