英語のシラブル(音節)を理解すれば発音はもっとネイティブに近くなる!
「シラブル(syllable)」というワードをご存じでしょうか?英語学習者でも耳になじみのない人が多いのではないでしょうか。
シラブルとは「音節」のこと。英語の音節を理解していないと、日本語の音節との違いに翻弄され、ネイティブとの発音のギャップに苦しむことになります。
日本語と英語はリズムの仕組みが根本的に違うので、日本人は英語本来のリズムからかなりズレてしまっていいるという現状なのです。
しかし恐れることはありません。それどころか、シラブルを理解することは英語の発音を今よりもっと良くするチャンスです。脱カタカナ英語ができ、英語らしいリズム感を体得できるようになりますよ。
シラブルを理解し、より「通じる英語」を身につけましょう。日本人離れした発音ができるようになるのには、発音記号を学ぶよりよっぽど効果的という話も。またカラオケで洋楽を歌うときなども「今までと全然違う!」と驚かれるかもしれませんよ。
目次
シラブルの基礎知識
英語圏では小学校低学年からシラブルを習いはじめるそうですが、日本ではまだまだ一部の熱心な英語学習者しか知らないという話もあり、学校教育でも今のところ熱心に教えられているものではありません。まず必要なのは基礎知識です。
シラブルとは音節のこと。1音で発音される音のまとまりのこと、発音するときの最小単位、と言い換えることもできます。
まずは日本語の音節から考えてみましょう。
ク・リ・ス・マ・ス(5音節)
お・は・よ・う(4音節)
こ・ん・ば・ん・わ(5音節)
細かいことを抜きにすれば、言いたいことは伝わりますよね?ではその細かいところを確認していきます。
日本語のリズムの基本は「子音+母音」です。その他では「あ・い・う・え・お」の母音と「ん」が例外で、これらは単体で1音節となります。
「O・HA・YO・U」を見てみましょう。「HA」「YO」は「子音+母音」のパターン、「O」「U」は母音のみのパターンですね。「KO・N・BA・N・WA」は「ん」が入っているパターンです。
■ポイント
日本語の音節の区切り方は基本的に3パターン!
・子音+母音
・母音
・「ん」
しかし、英語の音節の区切り方の基本は「子音+母音+子音」。最後に子音が付くのは日本語には存在しないパターンですね。また日本語が3パターンあるのに対し、英語は全部で4パターンあります。
■ポイント
英語の音節の区切り方のパターン
・子音+母音+子音
・母音のみ(母音にはy含む)
・子音+母音
・母音+子音
例えば「bed」だと子音「b」+母音「e」+子音「d」になっていますね。このセットでひとまとまりです。「dog」も同様ですね。
次に「scratch」という単語を見てみると、「a」という母音の前後を「scr」と「tch」という「子音・子音・子音」で囲まれていますね。文字で表すと
「子子子母子子子」
のようになっています。これだけ文字が多くなっても、この単語は1シラブル=1音節です。
ちなみに英語では、この「子音+母音+子音」のパターンが非常に多いため、これを意識するだけで発音がネイティブっぽくなります。
また重要なポイントになりますが、日本語と英語の共通点として、1つのシラブル(音節)に含まれる母音の数は1つだけということは覚えておきましょう。
また英語の母音は細かく分類すると26個もあります。英語と日本語の母音・子音の違いについて知っておくと、シラブルを理解するのにも役立つので下記記事を参考にしてください。
日本語と英語のリズムの違い
シラブルの基礎が分かれば、日本語と英語のリズムの違いについても理解しやすくなると思います。同じ単語を英語読みと日本語読みで読んでみましょう。
Christ・mas(2音節)
ク・リ・ス・マ・ス(5音節)
違いは明白ですね。日本人のいわゆる「カタカナ英語」が通じない原因、およびネイティブの英語が早くて聞き取れない理由がここにあります。
英語はリズムが大事な言語。日本人はどうしてもku・ri・su・ma・suのように一つ一つの音の最後に母音を付けたくなってしまいますから、発音はもちろんリズムが英語と全く違ってしまい理解されなくなってしまうのです。
2音節と5音節では全く違う聞こえ方になってしまうことが、少し理解できはじめたでしょうか?もうひとつ例を見てみましょう。
drum(1音節)
ド・ラ・ム(3音節)
日本語だと3シラブルになってしまうところが、英語だと何と1シラブルで済んでしまいます。
では「I can speak English.」に含まれるシラブルはいくつになると思いますか?正解は
I / can / speak / Eng・lish.
で、5音節です。canもspeakもそれぞれ1音節、Englishだけ2音節ですね。これが「アイキャンスピークイングリッシュ」だと、なんと12音節にもなってしまいます。
カタカナ英語では相手に通じず、また相手が話すスピードに付いていけないことが分かってきましたか?
英語の母音について
シラブルの区切り方を学ぶには、まず英語の母音について知っておく必要があります。ひとつずつ見ていきましょう。
母音としてのy
「y」は子音と思われているかもしれませんが、実は母音として発音されることがあります。例えば「system」と「symbol」という単語を見てみましょう。
sys・tem
sym・bol
上記の「y」は母音として発音されます。
長母音
beat
law
上記の「ea」や「aw」などは2文字ですが、1つの母音として発音されます。発音記号に「:」が含まれているのがこれに当たりますね。ほかに「soup」のouなども。
二重母音
eight
boat
上記の「ei」や「oa」のように、2つの母音が合わさったような発音になる母音が二重母音です。
三重母音
fire
hour
上記の「ire」や「our」のように、3つの母音が合わさって1つの母音になるものもあります。文字が3つでも、音としては一つです。
シラブルの区切り方
それでは、実際にシラブルはどうやって区切ったらいいのでしょうか。実は辞書を引けば載っているのですが、基本法則を理解しておいた方がより身につくはずです。
ただし絶対のルールではありません。全てが以下のどれかに当てはまるというわけではないことを忘れないでください。しかし、以下の法則を知っておけば判別の精度はかなり上げることができるので、無駄にはなりませんよ。
①接頭辞や接尾辞は切り離す
接頭辞・接尾辞については下記を参照してください。
接頭辞例はim-、in-、re-、un-vcon-、ex-など。接尾辞の例は-ful、-al、-ble、-ate、-ness、-fyなどです。
接頭辞や接尾辞が分かったら、それらを切り離してみましょう。
preview → pre・view
working → work・ing
endless → end・less
submarine → sub・ma・rine
接頭辞や接尾辞は1音とは限らないことに注意しましょう。
under-line → un・der・line
②子音が連続する場合は切り離す
子音が連続する場合は、切り離せることが多いです。英語のシラブルの基本形が「子音+母音+子音」であることを思い出してください。この組み合わせで違和感なく切り離せる場合は大体合っています。
例えば「doctor」だと、「子母子子母子」のような構成になっており、「c」と「t」と子音が続いていますね。その前後を見ると、「doc」と「tor」でちょうど「子音+母音+子音」になっています。いろいろ例を見てみましょう。
doctor → doc・tor
subject → sub・ject
splendid → splen・did
同じ子音が連続する場合も同様です。
common → com・mon
challenge → chal・lenge
excellent → ex・cel・lent
silly → sil・ly
ただし、th、sh、ph、ch、whなど、複数の子音を組み合わせて一つの子音として機能するような場合は例外です。この場合は切り離さず、同じシラブルに含まれます。
子音が母音に挟まれている場合
子音が母音に挟まれているケースは2種類あります。1つ目の母音が短母音か、もしくは長母音・二重母音の場合です。
1つ目の母音が短母音の場合
1つ目の母音が短母音の場合は、直後の子音は区切らずに1つ目の母音のシラブルに含めます。
metal → met・al
上の例だと、まず子音「t」が母音「e」と「a」に囲まれていますね。そして1つ目の母音「e」は短母音ですから、直後の「t」は区切らずに含め、「met・al」となります。
ここらへんかなりややこしいですよね。とりあえず無理に理解しようとしなくても構いません。「こんなの見たことあるな」と知識として持っておくだけでも結構です。
他には以下のような例があります。
model → mod・el
visit → vis・it
attach → at・tach
activity → ac・tiv・i・ty
Japanese → Jap・a・nese
liberty → lib・er・ty
1つ目の母音が長母音・二重母音の場合
1つ目の母音が長母音・二重母音の場合は、直後の子音は区切って後のシラブルに含めます。
local → lo・cal
上の例だと、「o」が二重母音のため、直後の「c」は切り離して後のシラブルに含めます。
他には以下のような例があります。
Cupid → Cu・pid
baby → ba・by
beautiful → beau・ti・ful
strawberry → straw・ber・ry
over → o・ver
頭で考えて難しい場合は、とりあえず「短い発音の母音は切り離さない、長い発音の母音は切り離す」と覚えておきましょう。
二重母音・三重母音は分割しない
二重母音・三重母音はひとつの母音としてみなすため、切り離しません。
上の項で挙げた例だと「beautiful」の「eau」、「strawberry」の「aw」などは切り離しません。
連母音は分割する
連母音とは、母音が連続しているが二重母音のように合体させて発音せず、別の音とみなすもののことです。
例えば「situation」という単語は「ua」という母音2つが連続していますが、これは二重母音のように合体させて発音するわけではなく、あくまで「u」「a」と別々に発音します。
situation → sit・u・a・tion
area → ar・e・a
stadium → sta・di・um
※「tion」もiとo、2つの母音が入っていますが例外として1シラブルとして扱います。
サイレントeは母音とみなさない
サイレントeとは、綴りには入っているのに実際には発音されない語尾のeのことです。これは母音としては扱いません。cake・make・rope・stone・take・cuteなどたくさんあります。
まとめ
シラブルという言葉を初めて聞いた人も多かったのではないでしょうか?実際、日本ではまだまだ浸透していないように感じられます。
しかし説明した通り、ネイティブに通じる発音を身につけようと思ったら知っておいて損はない知識です。後半の区切り方の章などは特にややこしくて混乱したかもしれませんが、そこは急に理解しようとしなくてもOK。
あくまで「英語と日本語のリズムの違いはそういうことか!」ということを頭に入れておけば、今後リスニングやスピーキングのトレーニングをする際に効果を実感できるはず。
シラブルを意識しているかしていないかでは、英語力にかなりの差が出てきます。1ランク上の英語スピーカーを目指すなら、シラブルの概念を常に頭の片隅に置いておきましょう。