【TOEIC初挑戦者向け】受験するメリットから問題構成・学習前に押さえておきたいポイントまで大公開
海外出張者の選抜基準や大学の単位取得条件など、TOEICが活用される場面が増えています。昔に比べTOEIC®を採用している企業や学校が増えているので、今後、この動きはさらに活発になるでしょう。しかし、英語初心者の方や仕事で忙しい社会人と勉強方法も分からず、手を出しづらいですよね。
敵を攻略するにはまず敵を知ることから。今回はまだTOEICを受けたことがない方向けに、TOEICの概要や問題構成など、TOEICの傾向をお伝えします。
これさえ押さえておけば、初めてのTOEIC受験でも自分の実力が反映された結果を得られるでしょう。
目次
TOEIC®とは
TOEIC®とは「Test of English for International Communication」の略で、日本語では「国際コミュニケーション英語能力テスト」と呼ばれています。
アメリカ合衆国の非営利団体である教育試験サービス(ETS)が行う試験で、英語が母語ではない国で実施されています。ここではその種類・受験時期時期・受験の申し込み方法をご紹介します。
TOEIC®の種類
日本でTOEIC®と言えば、「TOEIC® Listening & Reading Test」を指すことが多いでしょう。ビジネスで使う英語を中心としたリスニングと読解テストです。
あまり知られていませんが、TOEIC®は5種類の試験を実施しています。
・TOEIC® Listening & Reading Test(リスニングと読解)
・TOEIC® Speaking & Writing Tests(会話とライティング)
・TOEIC® Speaking Test(会話のみ)
・TOEIC Bridge® Listening & Reading Tests
・TOEIC Bridge® Speaking & Writing Tests
TOEIC Bridge®は日常生活で使う英語に特化した試験です。身近なテーマが取り扱われることが多く、問題もテスト時間も半分。リスニングスピードは従来のTOEIC®に比べてゆっくりです。
学校や会社で活用するならTOEIC®、TOEIC®を初めて受ける方や英語に慣れるのが目的ならTOEIC Bridge®など、自分の目的に合わせて受験する内容を選ぶのもいいでしょう。
TOEIC®の受験時期と費用
年によってまちまちですが、1ヶ月に1回~2ヶ月に1回のペースで試験が行われています。また、試験の種類によっても開催頻度が異なります。
TOEIC®は受験する内容によって費用が変わります。
種類 | 料金 | |
TOEIC® | Listening & Reading | 6,490円 |
Speaking & Writing | 10,450円 | |
Speaking | 6,930円 | |
TOEIC Bridge® | Listening & Reading | 4,950円 |
Speaking & Writing | 9,350円 |
インターネットで申し込みをする場合、また1年後に受験する際に割引で受験もできます。繰り返し受験してスコアを伸ばしたいなら、インターネットでの申し込みがおすすめです。
詳しい受験方法は以下の公式サイトより確認してみてください。
公式サイトTOEIC®が幅広く活用される理由
TOEIC®最大の特徴は、他の試験のような合否ではなく英語力を数値化できるところにあります。英語力が客観的に証明され、個々の実力を知るための良い判断材料となるからです。
主に外資系企業や海外に進出している企業では、採用・昇進問わず人事の評価基準にTOEIC®が活用されています。将来的にTOEIC®のスコアを人事基準に採用する可能性があると答えた企業は、上場企業の60%を超えます。
今は馴染みがない方も、近い将来TOEIC®が会社で採用されることもあり得ます。今のうちから準備することで、周りに差をつけられるでしょう。
TOEIC®を受けるメリット
TOEIC®を受けることで自分の英語力を客観的に把握できます。TOEIC®は問題構成が細分化されており、それぞれのスコアを出してくれます。そのため自分の得意不得意が把握しやすく、自分の課題を把握しやすいのもポイントです。
また、企業での活用が広がっているため、就職や昇進、昇給に有利な資格です。TOEICで基準以上のスコアに到達したらお祝い金を出す企業もあるとか。
英検・国連英検など、英語の資格試験はたくさんありますが、メリットを考えるとまずはTOEIC®を受験することをおすすめします。
TOEIC® L&Rテストとは
さまざまな種類がある中で、スコアを求められる際に受けるのは「TOEIC® Listening & Reading Test」です。
全てがマークシート式で、合計2時間で200問の問題に答える990点満点テストです。リスニングセクションとリーディングセクションで構成されており、和文英訳や英文和訳の設問はありません。問題文への書き込みが禁止されているのもTOEIC®ならではです。
ここからはTOEIC® L&Rについて詳しくご紹介します。
TOEIC®スコア別レベル
TOEIC®を受けるにあたり、どの程度のスコアを目指すべきか知っておくといいでしょう。目指すスコアによって勉強法や答えを導くポイントが変わるからです。
自分の英語力を数値化することができるからこそ、受ける前にスコアの目安を把握しておいてくださいね。
スコア | レベル | イメージ |
400点未満 | 中学中級程度 | 基礎文法が曖昧 |
500点台 | 中学卒業程度 | 簡単な英語なら理解可能 |
600点台 | 高校中級程度 | ビジネスで最低限求められる |
700点台 | 高校卒業程度 | ある程度のビジネスでも通用するレベル |
800点台 | 大学中級程度 | 社会生活で困ることのないレベル |
900点台 | 大学上級程度 | 英語全般で困ることはないレベル |
満点 | 英検1級 | 受験者の約0.3%レベル |
英語学習初心者でTOEIC®初受験なら、550点以上を目指すと良いでしょう。最初は目標を決めず自分のレベルを把握した上で、次から600点以上を目指すという方法もあります。
自分に満点は無理!と思うかもしれませんが、TOEIC®を解くコツを理解した上で勉強を継続すれば、満点取得も可能です。上を見据えつつ、まずは自分に適したスコアを目指しましょう。
TOEIC® L&Rテストの問題構成~リスニング編~
TOEIC®のリスニング問題は45分で100問の設問を解きます。会話やナレーションを聞き設問の回答をマークシートに記入していきます。
音声は1度しか流れず、音声のスクリプトは問題文に印刷されていません。一度で情報を的確に聞き取る力が求められます。
設問はPart1からPar4で構成されています。
設問 | 問題内容 | 設問数 | |
Part1 | 写真描写問題 | 6問 | |
Part2 | 応答問題 | 25問 | |
Part3 | 会話問題 | 39問 | |
Part4 | 説明文問題 | 30問 |
Part1.写真描写問題(6問)
問題文に写真が掲載されており、その写真についての説明文が4つ流れます。そのうち写真について最も的確に描写している文章を選びます。
(A)There are three people.(彼らは3人です)
(B)He is wearing yellow clothes.(彼は黄色い服を着ています)
(C)They are about to leave.(彼らは立ち去ろうとしています)
(D)She is taking a picture.(彼女は写真を撮っています)
ここで求められるのは、短い文章から正確に情報を読み取る力です。主語や動詞の形など、ヒントをうまく聞き取るコツを掴めば、満点を目指すこともできるでしょう。
Part2.応答問題(25問)
1つの質問もしくは短いナレーションと、それに対する返答が3つ流れます。最初の音声に対して最も自然な返答を選びます。
例をあげましょう。
Shall I book the later flight for you?
(もっと遅い飛行機を予約しましょうか?)
(A)That would be great.(それは良いですね)
(B)No,I have not read the book.(いえ、まだその本を読んでいません)
(C)I’m really frightened.(私はとても怖いです)
応答問題はひっかけ問題が頻出します。発音が似ている単語やYES/NOで答えない場合など、発音の違いをしっかりと聞き取りましょう。
疑問文やニュースを伝えるものなど、問題のパターンが決まっています。パターンを把握した上で聞き間違えをしやすい単語を覚えるのが点数アップの秘訣です。
自分に質問されていると想像するのも応答問題攻略のポイントです。自分だったらどう答えるかを想定しながら問題を解きましょう。
Part3.会話問題(39問)
複数の人物による会話が1度だけ流れ、その後に設問が放送されます。会話を聞いた上で設問に最もふさわしい答えを選びます。それぞれの会話に設問が3つあります。
問題文には単語や文章だけでなく、図が掲載されている場合も。その場合は図で見た情報と音声を関連付けて答えを導きます。
Part3からナレーションが長くなります。長い文章を聞き取る力が必要でしょう。点数アップのポイントは解答から設問を想像すること。会話のテーマなのか、何か具体的なものを問われるのか、設問が流れる前に解答から見当をつけられるようになれば高得点も狙えます。
Part4.説明文問題(30問)
空港のアナウンスや簡単なニュースといった長めのナレーションが流れます。それぞれの音声について3つの設問が出題され、4つの答えの中から適当なものを選びます。
会話問題と問題や解答の形式は似ていますが、一人の人物がナレーションをすることと、よりナレーションが長くなる点が違います。こちらも選択肢から設問を先読みすることが重要です。
リスニング問題の中でも難易度は高めです。しかし、このセクションをマスターすれば、相当なリスニング力が身につきます。リスニング力の底上げをはかるなら、説明文問題を集中的に練習することをおすすめします。
TOEIC® L&Rテストの問題構成~リーディング編~
TOEIC®のリーディング問題は75分で100問の設問を解きます。印刷された問題を読み、設問の解答をマークシートに記入します。
設問が多いため、時間配分を間違えたり、どこかで時間を取られると最後の問題に到達しないことも。時間を制する者がリーディング問題を制するといっても過言ではありません。
そのため、解きやすい問題は1問あたりの解答時間を決めたり、時間を計りながら問題を解くなど、常に時間を意識した学習を進めるのがコツです(次章で詳しく説明します)。
設問はPart5からPar7で構成されています。
設問 | 問題内容 | 設問数 |
Part5 | 短文穴埋め問題 | 30問 |
Part6 | 長文穴埋め問題 | 16問 |
Part7 | 1つの文書の読解 | 29問 |
複数の文書の読解 | 25問 |
Part5.短文穴埋め問題
文章中にある( )に当てはまるものを、選択肢の中から選びます。
このような問題形式です。
The Public Works office will accept bids for construction of new buildings ( )Septmber 15.
A.against
B.inside
C.through
D.onto
答え:C
Part5では語彙や文法を問う問題が出題されます。設問数も多く文法の基礎をコツコツ勉強すれば、大量得点や満点も可能です。
消去法で答えを導く問題や、出題された文章の意味がわからなくても正解できる問題もあります。とにかくたくさん問題をこなし、点数と時間を稼ぐことがPart5攻略の近道です。本番さながらに時間を計りながら問題を解いたり、一問あたりどれくらい時間がかかっているか分析しながら勉強することも大切です。
Part6.長文穴埋め問題
Part5と形式は変わりませんが、Part6は長文の中に空欄があります。手紙や広告、招待状など3段落ほどの文章にある( )に当てはまるものを、選択肢から選びます。
1つの文章に対し4つの設問があり、選択肢は単語や文節、まるまる1文と、Part5より難易度は高めです。Part6では文法理解力の他に文章の理解度が求められます。
問題を解くだけではなく、何度も問題の文章を読んで、設問に関するヒントがどこにあるかを把握することが重要です。
メールや招待状特有の表現を問われることもあります。メールや招待状の書き方や表現をあらかじめ確認しておくと、設問を読まずとも解答できるボーナスポイントがゲットできるでしょう。
Part7-1.1つの文書の読解
Part7は、リーディングセクション最大の山場です。Part7-1では1つの長文を読み、設問に答えます。
新聞記事のコラムや募集広告など、社内回覧書と登場する長文はパターンが決まっています。事前に長文のパターンを攻略することで、パターン別に攻略法を見つけることができるでしょう。
長文読解最大のポイントは設問を先に読むこと。事前に設問を把握することで、じっくり読むべき箇所を絞ることができます。
ミクロからマクロへ。これを肝に銘じておけば、1つの文書の読解も怖くありません。
Part7-2.複数の文書の読解
Part7-2では、2つから3つの長文を読んだ上で設問に答えます。求人広告・求人応募のメール・人事部から配属先の文書や、顧客からのクレームの手紙とそれに対する会社からお詫びの手紙と、長文は全て関連づけられた内容です。
設問の順番とヒントが書かれている長文の順番が対応していると言われていますが、設問の最終問題のヒントが最初の長文に隠されていることも。
Part7-2.でも重要なのは設問を先に読むことです。答えの見当をつけてから文章を読み始めましょう。
TOEIC®初心者向け攻略法3選
繰り返しになりますが、TOEIC®を受験する上で最大の壁となるのが時間配分です。リスニングセクションはナレーションを聞きながら進めるので、リーディングセクションでの時間配分が高スコアを目指すポイントとなります。
そこで、最後に時間配分や時間短縮を意識したTOEIC® の攻略法を、3つお伝えします。これでもうTOEIC®は怖くありません。
Part5とPart6は1問20秒以下で解く
リーディングセクションで最も時間がかかるのは、Part7の読解です。Part5と6に比べて問題の難易度は高く、量も多いからです。
そのため、Part5と6をいかに効率良く解答できるかがポイント。読解に60分間確保するなら15分で46問解く必要があるため、1問あたりにかけられる時間は、15分×60秒÷46問=16.7秒です。なので、少なくとも20秒以内で解答するようにしましょう。
あるいは、Part5は7分・Part6は8分で解くなど、パートごとにタイムを決めて学習をするのも効果的です。いずれにしても、問題をしっかり解く時間、時間感覚を習得する時間、と勉強法を変えながら取り組むのをおすすめします。
問題傾向を把握し、解法を把握する
Part5~7全てに共通するのは、問題の傾向を知ることが重要という点です。その傾向を把握し、自分なりの攻略法を見つけましょう。
Part5の短文穴埋め問題では語彙・名詞・副詞・前置詞に関する問題が出題されます。Part7の読解問題ではクレームの手紙や広告が取り扱われるなど、出題傾向があります。過去問や問題集でこの傾向を知ることが可能です。
同じように、穴埋め問題は空欄直前の単語に注目する、読解問題では設問を先に読んでおくなど、解法も確立されています。こちらは参考書でさまざまな解法が紹介されています。
傾向や解法を把握し頭に叩き込むことで、直感的に答えを導くことができます。迷わず答えを導くことが結果として時間短縮や、時間配分どおりに試験を進めることに繋がるでしょう。
自分の得意不得意を分析した上での勉強法
TOEIC®の勉強を続けると自分の得意不得意がわかってきます。それを分析し、問題単位で学習を進めることも、TOEIC®の時間を攻略するポイントです。
重要なのはパートではなく、それぞれの問題傾向に合わせた分析をすること。Part5で言うなら、前置詞問題は解答率が高いけれど語彙問題は苦手…や、副詞問題はマスターできているけど、名詞問題はつい悩んでしまう…といった具合です。
自分の得意を極めそこで時間を稼ぐのか、不得意を潰して全体的の時間短縮を計るのか、自分なりの作戦を立てることも重要でしょう。
まとめ
TOEIC®は合否ではなくスコア形式の試験です。それゆえ繰り返し受験し、スコアアップを目指す方が多くいらっしゃいます。
だからこそ初受験が最もハードルが高く、挑戦の一歩が踏み出しにくい試験と言えるでしょう。この記事でTOEIC®の概要や攻略法を知り、初受験の不安を解消して頂けると幸いです。
数ある英語試験の中でも人気が高まりつつあるTOEIC®。これを機にぜひ挑戦してみてくださいね。
世界中で受験されているTOEIC®。これまで多くの方が受験し、解法のコツや出題傾向が研究し尽くされているのも大きな特徴です。
そのため、自分に合った勉強法を見つけることができれば、短期間の勉強でスコア大幅アップも実現可能でしょう。こちらの記事では、TOEIC®初心者がスコアアップを目指すための勉強法やおすすめの参考書を紹介しています。
この記事と合わせてチェックすれば、初TOEIC®600点以上取得も夢ではないでしょう。