接続詞のthatと関係代名詞のthatの見分け方!「that」の用法や意味を理解しよう
今回の話題は「that」についてです。
学生時代、「このthatは関係代名詞でしょうか?接続詞でしょうか?」などという問題に頭を悩ませたことがある人も多いのではないでしょうか?
「that」は他にもいろいろな用途で使われる、いわば「便利屋」。しかし、それだけに我々英語学習者には「これは何のthatなの?」と混乱させられてしまいます。
今回は接続詞のthatと関係代名詞のthatの見分け方を中心に、いろいろなthatの役割について解説していきたいと思います。
that節は英語では必須かつ頻出する表現。ここを理解しておくことで、文法力だけでなく総合的な英語力がアップするはずですよ。
目次
接続詞と関係代名詞のキホン
まず初めに、接続詞って何?関係代名詞とは何ぞや?というところから話を進めていきましょう。詳しく説明するとそれぞれ記事1本分以上になってしまうので基本のところだけ触れておきますが、基本をおろそかにせずしっかり理解しておくことで頭の中に定着する度合いが変わってきますよ。
接続詞とは何か
接続詞とは文字通り「接続する役割」をもつ品詞のこと。もっと詳しく言えば「文と文、あるいは節と節などをつなぐ役割を持つ品詞」のことを接続詞といいます。
接続詞は日本語にもあり、概念的にはさほど変わりません。日本語だと「また」「そして」「しかし」「それから」「それから」「それで」「だから」「しかも」などがありますね。
英語の接続詞だと「and」「or」「but」「because」などですね。ここに表題の「that」も入ってきます。基本的な使い方は日本語と変わらないものが多いですが、thatを含む一部に注意が必要なものがあります。
I eat a hamburger and I listen to the music.
上記が分かりやすい接続詞の使い方ですね。異なる2つの文を接続しています。
日本語にはない「関係代名詞」
次に関係代名詞についてです。接続詞が日本語にもあり、使い方もさほど変わらないのに対し関係代名詞は日本語にはない概念です。
簡単に言うと関係代名詞とは「名詞を後ろから修飾(説明)するもの」です。「この名詞について、これから説明するよ」という目印ということもできますね。
日本語と英語の違いのひとつに「修飾の仕方」があります。日本語は前から修飾することがほとんどですが、英語は後ろから修飾することが多いのです。下の例文を見てください。
I went to the restaurant that is famous in New York.
日本語の場合だと「レストラン」という名詞を説明したいなら「NYでいちばん有名な」という修飾語を前に付けて「NYでいちばん有名なレストラン」というように表現しますね。英語でも「花」という名詞を「美しい」と修飾するときは「beautiful flowers」というように前に修飾語を付けますね。これを前置修飾といいます。
ところが、上記の文では修飾(説明)する節「that is famous in New York」が名詞「restaurant」の後に来ていますね。これを後置修飾といいます。
このような違いによって、英語を和訳するときに混乱することがあるんですね。英語を訳すときに「後ろから訳せ」と言われることがあるのはここにも原因があります。
※ちなみに、和訳するときに後ろから訳す「返り読み」は当サイトでは推奨していません。理由は下記記事を参照してください。
この関係代名詞は、一言では説明(修飾)できない場合に登場する可能性が高いと覚えておいてください。例えば「彼の本」だと「his book」で済みますが、「彼が書いた本」だと「彼」と「書いた」という2つの要素が出てくるため「the book that he wrote」となるわけですね。(この場合のthatは省略して「the book he wrote」でもOK)
接続詞のthatと関係代名詞のthatの見分け方
さてここで今回のメインテーマである「接続詞のthatと関係代名詞のthatの見分け方」について説明していきましょう。一言で言うと実にシンプルです。
● thatの後の文が完全な文かどうか
…これだけではさすがに説明不足ですよね。もう少し詳しく説明すると、
● thatの後の文が完全な形(単独でも成り立つ文)
→ 接続詞のthat
● thatの後の文が不完全な形(単独で成り立たない文) → 関係代名詞のthat
完全な形(単独でも成り立つ)ってどういうこと?と思う人もいると思うので説明していきましょう。ここで言う「完全」とは、文型がそろっている=単独でも文として成り立つもののことです。
文型については下記記事で学びましょう。
①文型がそろっている
I cannot believe the fact that you made the cake.
②文型がそろっていない
I want to eat the cake that you made.
①のthat以下を見てみましょう。「you made the cake.」という文章は主語(S)動詞(V)目的語(O)が揃っており、これだけでも文として成り立ちますよね。この場合のthatは「接続詞のthat」になります。
一方②を見てみると、that以下の「you made」だけだと文として成り立っていませんよね。「あなたが作った」だけだと「何を?」となってしまいます。これはmade(make)が、必ず目的語が後に来なければならない他動詞だからです。
このように、that以下が不完全な文の場合は「関係代名詞のthat」となります。
接続詞のthatの意味と訳し方
接続詞のthatと関係代名詞のthatの見分け方は分かったけれど、どういう風に訳したらいいの?という疑問が出てきた人もいるかと思います。それでは両者の用法や意味について詳しく見ていきましょう。まずは接続詞のthatです。
接続詞~同格のthat
「同格のthat」とは、「thatの直前の名詞=that節」という関係になるもので、「~という」という訳になります。
またこの場合の特徴として、意味が「~という」であるため先行詞が「news・story・fact・evidence・idea・impression・chance・risk・dream」などの「抽象名詞」に限られる、ということが挙げられます。
実例を見てみましょう。
I know the fact that he is innocent.
私は彼が無実だという事実を知っている。
I agree with the idea that she studies abroad.
私は彼女が留学するという考えに賛成だ。
The news that he married was true.
彼が結婚したというニュースは本当だった。
いずれも、the fact=he is innocent、the idea=she studies abroad、The news=he married、と「同格」になっているのがお分かりいただけるでしょうか。
接続詞~名詞節のthat「〜ということ」「~すること」
「〜ということ」「~すること」と訳すのが「名詞節のthat」です。「~という」とは微妙に違うので注意してください。違いとしては、名詞と句がthatで接続される場合は「〜という」、動詞と句がthatで接続される場合は「〜ということ」になるという点です。
I cannot believe that she is alive.
彼女が生きているということを、私は信じられない
He said that he had caught a cold.
彼は風邪をひいたと(いうことを)言った
I think that I like Canada.
私はカナダを好きだと(いうことを)思う
I know that the test is difficult.
私はそのテストが難しいことを知っています。
We didn’t realize that he was angry.
私たちは彼が怒っていることに気づかなかった。
接続詞~so that 構文
so that 構文は「とても〜なので〜」という結果を表す構文です。
I am so hungry that I cannot study anymore.
私はお腹が空いているのでこれ以上勉強できない。
The road is so bumpy that it is impassable.
道路がとてもデコボコしているので通行不能だ。
これも接続詞のthatなのですが、構文なのでこれはもうこういうものだと覚えてしまった方が楽かもしれません。
接続詞~「〜するために」のso that
「so」と「that」の間に単語が入らない場合は、「~するために」という文になります。
I speak English more slowly so that you can understand me.
あなたたちが私の話を理解できるように、ゆっくり英語を喋りますね。
関係代名詞のthatの意味と訳し方
関係代名詞のthatは、that以下が不完全な文だというのは説明しました。この場合のthat以下は、前の名詞(先行詞)を修飾する形容詞節となります。
He is going to meet a girl that lives near my house.
彼は私の家の近くに住む女の子と会う予定だ。
This is a picture that she painted.
これは彼女が描いた絵です。
上記の例はどちらもthat以下がそれ単体では成り立たない不完全な文です。そしてどちらも直前の名詞のことを説明していますね。
そしてこの場合のthatは「訳さない」のが正解です。関係代名詞としてのthatは、それ自体には具体的な意味を持たないというふうに考えるとよいでしょう。
接続詞thatと関係代名詞thatの違いを例文で見てみましょう。
接続詞that
I know the fact that he is innocent.
私は彼が無実だという事実を知っている
関係代名詞that
I know the fact that he does not know.
私は彼が知らない事実を知っている
接続詞では「~という」という訳になっているのに対し、関係代名詞ではthatは特に訳されていませんよね。関係代名詞のthatは省略できる場合が多い=無くても文章が成り立つ、ということから考えてもthat自体は訳さないという理由がお分かりになるかと思います。
まとめ
今回はかなり文法的な内容になってしまいましたが、付いてきていただけたでしょうか。
文法的でお勉強チックではありますが、これらthatの用法に関しては最初に述べた通り頻出かつ必須の表現です。こちらがthatを使わず、他の言い方で言い換えることは不可能ではありません。しかしネイティブとのやり取りの際に、相手が使ってくる可能性は高いと言えるでしょう。
リーディングの際でもスムーズに英文を理解するためには欠かせない、「that」の見分け方と使い方をマスターしておきましょう。